15人が本棚に入れています
本棚に追加
俺の家系は霊感が強いらしく、叔父もかなりの霊感の持ち主だ。叔父が思いつきで普通の不動産屋のかたわら幽霊専門の不動産屋を始めたら、幽霊界隈で有名になったらしく、数年前から相談が増え、少しずつ俺の担当も増えてきた。
子供のころから幽霊は視えていたから、依頼人が幽霊だからといって、生きている人間と対応が変わることはない。
人は亡くなると、成仏するかこの世に留まるかの二つに分かれる。そして、この世に留まる幽霊にはいろいろなタイプがある。
自分が亡くなったことに気付かないままこの世を彷徨う者、亡くなったことに気付いているが恨みや未練があり人や場所に憑く者、そして、亡くなったことに気付いているが、あえて成仏を拒み、この世に留まり生前と同じ生活を望む者。
宇良飯一家は一番最後のタイプで、物件を探すよう依頼してくる幽霊は、すべてこのタイプだ。
幽霊専門の仕事をするにあたり、ボスに『幽霊のお客さまの過去を詮索するな』と言われている。
ボスの経験から出た忠告らしい。いったいなにがあったのか……ボスに聞いても口を閉ざしてしまうため、詳しいことはわからない。
宇良飯一家は、成仏すると家族がバラバラになるから成仏したくないと言っていた。
そこまで家族に執着するのはなんで? と思ったが、ボスの忠告を守り理由は聞いていない。ボランティアのような仕事だが、俺は目の前のお客さまに真摯に向き合うだけだ。
最初のコメントを投稿しよう!