〇〇専門不動産

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「えーっと、この度はアパート取り壊しのために転居先を一緒に探すご依頼と聞いています」  宇良飯一家が、みんな同時にうんうんとうなずいた。 「こんなに早く取り壊されるなんて、参っちゃうわぁ~」 「俺、言いましたよね? 取り壊される可能性があるって」 「うぅ~ん、でもぉ、このボロボロ具合が気に入っちゃったんだもん」 「そうだよなぁ、瑤子。誰も住んでないから騒ぎ放題だったのによ」  剛史さんが瑤子さんの頭をなでて、瑤子さんは剛史さんにしなだれかかっている。 「ちょっとそこの二人、子供の前でいちゃついて恥ずかしくないんですか」 「父と母は放っといてください。それで、転居先の資料は?」  太朗くんが眼鏡をくいっとあげて、俺を見た。 「あ、条件に合いそうな物件の資料がこちらです」 「拝見してもいいですか?」 「どうぞ」  物件の資料を隅々までチェックする太朗くんの隣で華子ちゃんも一緒に資料を眺めている。 「どれも間取りはよさそうですね。実際に見にいきたいのですが?」 「わかりました。どの物件もそう遠くありませんので、いきましょう」  俺は宇良飯家のみんなを連れて、一軒目の物件へ向かった。
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