〇〇専門不動産

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「引越し先よぉ!」 「……? ああ、この物件が気に入ったってことですか?」  俺は瑤子さんに、スマホに表示された物件データを見せた。 「違う違う~! ここ! 紫苑くんの家に引越してきて、シェアハウス仲間になるってことよぉ♪」 「……ええー!? ちょ、ま――」 「こっちこっち、紫苑くん」  瑤子さんが先導して、俺を別の部屋に導く。  フンフンと荒い息を吐きながら、筋トレをする剛史さんの姿が視えた。 「この部屋は広いから、トレーニングルーム♪」 「いや勝手に決めないでください! 今は広くても、とっくんが移動したら居場所なくなりますよ!」 「ううん、大丈夫よぉ。あれ見て♪」  居間の隅で、キャッキャと楽しそうに笑う華子ちゃんがいた。 「華子ちゃんと……と、とっくん~? どしたの、分裂して小さくなって!」 「とっくんにね、猫ちゃんくらい小さくなれる? って聞いてみたら、少し小さくなってくれたの」  うふふ、と嬉しそうに華子ちゃんが話す。  とっくんは、大型犬くらいの大きさになって、体が軽くなったからか動きが速くなっていた。数が増えて、わちゃわちゃと動き回っているから、まるで大型犬を多頭飼いしているようだ。 「華子ととっくん、仲良くなったみたいなの♪ それから、あれ!」  瑤子さんが窓の外を指さした。 「学校があるじゃない? 太朗が図書室で本が読めるって喜んでるのよ」 「好きなときに本が読めるって、最高ですよね」  太朗くんが、期待に満ちたまなざしで俺を見つめる。  はぁ……と俺はため息をついた。 「お風呂とトイレは別だし、部屋数も十分あるし……本音はもっと古いほうが好みだけど、そこは妥協してあげるわ♪」  瑤子さんが、満面の笑みを浮かべた。
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