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「三原色、というものがあります。
ここでは光の三原色でご説明致します。
青・緑・赤ですね。
これらを混ぜ合わせれば全ての色を作れます。従ってこの三色のバランスが取れている事が望ましいのです。
青い海と空と緑の大自然、そこに赤い火を手にした事で人類が発展した様に」
みんなの頭上に「?」を大量に浮かべたまま、耳障りの良い声が解説を続ける。
「青は寒色系で、清潔、爽やか、クール等のイメージがあります。
緑は中間色で、安全を表す色です。
どちらも悪いイメージの色ではないはずです。
しかし赤は暖色系の代表でありながら、危険を表す色とされて来ました。
実際、赤い動植物は毒を持つ物が多く、私達の血液は大切ですが、見ただけで気分が悪くなる事もあります。火は人に必要な物ですが、火事、災害の悪いイメージがある。
夕焼けや紅葉は綺麗ですが、これらは同時に切なく寂しいイメージがあります。
更に、特に最近の風潮として人々は孤独を好みクールな自分を演出しようとします。
何かに真剣になる、つまり赤く燃える事を昭和的でカッコ悪いとし、ネット上では細かい間違いさえ許せず、真っ赤な嘘だと指摘せずにはいられない人も。
生涯独身を選ぶ人も多く、赤ちゃんを囲んだ暖かい一家団欒や他人との関わりはどんどんなくなりつつあります。
ただでさえ昔から人々の心には赤い色が、暖色系が足りないのに、赤の要素が減る一方で寒色系が強くなった。その結果がここ数年の異常気象なのです。
懸念されていた温暖化を打ち消してしまう程に、人々の心は寒色系に染まり、元々強かった地球の青系統を更に強くさせているのです」
衝撃の演説はまだ続く。
俺達はおそらく全員が、どこから突っ込むべきか考えている。
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