5話 新しい日常

1/3

572人が本棚に入れています
本棚に追加
/60ページ

5話 新しい日常

 静まり返った小部屋で、ダイナは一人ベッドに寝転がっていた。  ここは『カフェひとやすみ』から徒歩で100mほどの場所にある下宿所だ。ダイナの就職が決まったすぐ後に、老婦――ヤヤがこの場所へと案内してくれた。何でも下宿所の管理人がヤヤの顔馴染みで、すぐにでも部屋を貸してもらうことができるのだとか。  住まいを紹介してくれただけでなく、ヤヤはダイナの雇用にあたり色々と融通を利かせてくれた。3食の食事はカフェでまかないを提供する。神具の売り上げはダイナの小遣いにしてよい、などなど。下宿所の管理人は家具がそろった部屋を貸し出してくれたし、下宿費の支払いは給与が入った後で良いと言ってくれた。  たくさんの気遣いに支えられて、ダイナはようやく神都での生活を手に入れたのだ。 「お父さん。私、何とか神都で暮らしていけそうです」  ダイナは柔らかな布団の上で手のひらを握り締めた。  ***
/60ページ

最初のコメントを投稿しよう!

572人が本棚に入れています
本棚に追加