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12話 助けてお姉さま!
やっほー、あたしの名前はルピ。神国ジュリの神都に住まう、今をときめく乙女だよ。
髪の色は濃い桃色、目の色も同じ色。珍しい色合いだと言われるけれど、あたしの故郷では有り触れた色なんだよねぇ。好きな物は美味しいお菓子と綺麗なお洋服、あとは可愛い女の子。最近のお気に入りは、同じ下宿所に住む『ダイナ』という名前の女の子。大失恋を経て神都へやって来たらしく、いつもどこか自信なさげ。髪も伸ばしっぱなしで、服はいつも同じ地味なワンピース。素材は良いんだから、もっとお洒落をすればいいのにっていつも思っているんだ。
さて、今日はそんなダイナとあたしの出会いの物語を……
「ルピぃぃぃぃぃ!」
ばん、と大きな音を立てて部屋の扉が開いた。弾丸のごとくルピの部屋に飛び込んできた者は、隣室に住まうダイナだ。銀色の髪を振り乱したダイナは、激しく混乱しているようだ。
「ル、ルピ。どうしよう、どうしようどうしよう」
「ちょ、ちょっと待って。ダイナ、落ち着いて。何があったの?」
ルピがダイナの両手を握りしめて尋ねれば、ダイナは涙目で答えた。
「ルピ、どうしよう。男の人からお出かけに誘われちゃった」
「お出かけ? もしかしてデートのお誘いってこと?」
ダイナはこくりと頷いた。
時は夕方。部屋の窓からは橙色の西日が射しこみ、部屋の内部を照らしている。ダイナの頬が赤く見えるのは橙色の夕焼けに照らされているからか。それともダイナの頬その物が夕陽のように赤いのか。
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