12話 助けてお姉さま!

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「事情は分かったけど、あたしは一体どうすればいいの? お誘いを断りたいって言うんなら――」 「違う違う。断らなくていいの。ルピに助けて欲しいのはこの髪」  ダイナは泣きそうな声でそう言うと、まばらに伸びた前髪をつまみ上げた。神都にやって来てから一度も散髪せずだらしなく伸びた銀色の髪。腰まで伸びた長い髪は、生え際から毛先まで荒れ放題だ。 「こんな髪じゃ神都の街中は歩けないよ……。あと、服。私、神都に来てから一着も服を買っていない」 「まぁ……そうだろうねぇ」 「ルピ、お願い。私の髪をどうにか見られる形にしてほしいの。あと男の人と並んで歩いても恥ずかしくない服を選んで欲しい……靴も……」 「それは構わないけど…デートの日取りはいつ?」 「あ、明日」  ルピは思わず仰け反った。   「明日ぁ⁉ そんな急な話ある⁉ 集合は何時?」 「11時。最初は10時と言われたけれど、支度に時間がかかるからと言って1時間遅らせてもらったの……」 「それは賢明な判断だわ……」  ルピは壁時計を見上げた。時刻は17時を回っている。神都の街中の服飾店は18時に閉まるところがほとんどだから、今から服を買いに出るのは現実的ではない。  ならば勝負は明日の朝だ。散髪に1時間、服選びに1時間、そして化粧を含む身支度に1時間。合計で3時間。かなりぎりぎりだ。    考え込むルピの顔を、ダイナが覗き込んだ。 「……ルピ、どうだろう。間に合うかな」 「間に合わせるしかないでしょう。幸いあたしは明日一日休みだし、ダイナのために一肌脱ごうじゃないの! まっかせなさい!」  ルピが自信満々に胸を叩けば、ダイナは銀色の瞳をきらきらと輝かせた。  「ルピおねぇさま……」  どこぞのご青年。あたしはあなたに一言言いたい。ダイナをその気にさせてくれたことはありがとう。でもデートの日取りがあまりにも急すぎやしませんかね?    ダイヤ(ダイナ)を磨くには、3時間じゃあ到底足りない。
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