カモメの翼

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***** 「照明器具をお探しですか」  抑揚のない声で話しかけてきたのは、スラックスを穿いた、眼鏡の男性店員だった。  シフト休みの月曜日。やってきたのは、家から少し遠いインテリアショップ。  照明のコーナーにはアンティークから近代的なものまで様々なデザインが並ぶ。価格はやはり希望より「0」が一つ多い。  自宅に近いリサイクルショップに2件行ってみたけど、目ぼしい商品(おたから)には出会えなかった。  吊るされた蛍光色や電球色が眩しい。それをぼんやり眺めていた時に、声を掛けられた。 「ご希望のものがなさそうですか?」  遠くから観察されていたのだろうか。そう思うと居心地悪くなって「はい」と頷き、私はその場を立ち去ろうとした。 「カタログをお持ちしましょうか。気に入ったものがあれば、お取り寄せできます。ご希望の形状はございますか?」  20代半ばで、私と同じ年頃だろうか。店員は無愛想な見た目とは違って、真摯な姿勢で仕事をしていた。 「えっと、実は......」  休みの日にまで人と関わりたくない気持ちだったが、壊れた照明と似たものがあるなら、手に入れたかった。
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