WEB懐疑

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WEB懐疑

「ただいまー! ねえ聞いてよ――」  帰宅してすぐに、勢いよく書斎の戸を開けると、そこには狼狽する父の姿。  頭にヘッドセット、眼前にはノートPC。私はハッとする。  父はWEB会議中だったのだ。  出て行けと目顔で示す父に向かい、手を立てて「ごめん」と伝えると、静かに戸を閉めた。  ……なんだよ。がっかり。  今日は4月1日だから、とっておきの嘘をついてやろうと思って、喜び勇んで帰宅したというのに。なんだか拍子抜けだ。私はランドセルを廊下に投げつけた。  父は実直で軽口を叩かない人だ。  そして常日頃から口癖のように「嘘はつくな」と言っている。勿論自分も嘘をつかない。嘘を見つけると鬼神の如く怒る。  そんな堅物だからこそ、嘘を冗談で済ませられるエイプリルフールは、私にとって特別な日だった。  不完全燃焼感の為すまま、なんとなく書斎の戸にもたれかかっていると、中から声が聞こえてくる。 「……すまんすまん、子供だ」  父の声だった。誰かと会話している。思わず聞き耳を立てる。 「……ああ、例の件だったな。前にも言ったが、殺すなら子供からだぞ、親の方を殺して子供だけ残すと、手間取ることがあるからな」  !!!?  ええッ!?  うちの父はなんの話をしているの!?
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