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プロローグ
とある国に、とても暇な皇子様がいました。
眉目秀麗、文武両道。
やることなすこと簡単に出来てしまう皇子様は夢中になれる事が無く、とてもとても暇でした。優しげな微笑みの裏で、こっそりといろんな事に手を染めるくらいに暇でした。
そのままだったら暇に飽き、なにか大きな事をやらかしてしまっていたかも知れません。
しかし、ある時皇子様は恋に落ちました。お相手は隣国のお姫様。
おとなしそうでいて、常に好奇心できらきら輝いている菫色の瞳に皇子様は一目で参ってしまったのです。
皇子様とお姫様は婚約をしました。
実は皇子様にはそのお姫様の姉姫との婚約話が持ち上がっていたのですが、色々と手を回して相手を変更させたのでした。
お姫様をお妃にする日を心待ちにする皇子様。
お姫様の好きな薔薇を城の中庭で育てたり、自分の腹心をお姫様の傍付きに潜り込ませたりと、お姫様を迎える準備に余念がありません。
しかし、それからすぐに政変が起こって隣国の王が変わり。
なんと、お姫様との婚約が破棄になってしまったのです。
皇子様は、とても怒りました。
深く、静かに怒りました。
そして考えるのです。
――どうやってあのお姫様を手に入れようかと。
これはアッシュベルという国の第二皇子、ユーリと隣国の王女リーズシェランのお話。
……本気になった皇子様の画策は、こうして始まるのでした。
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