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夕食の時間、会話がなかった。とうとう来たか。前は五年前、俺が十歳の時だった(あの時は家族がもめて、俺は何が起きたのか分からず、ずいぶん戸惑った)。その前は五歳の時。その前は俺が生まれた頃。五歳、〇歳の時の記憶はないが話に聞いて知ってはいた。
部屋に戻ると、惣一郎からグループラインがきていた。しわしわネームの全員(敬次郎、瑛司郎、佐太郎、俺)が惣一郎の家に集まることになった。ので、コッソリ抜け出すことにした。明日は日曜だ。時計を見た。五月一八日(土)PM七時二三分。今月の末に俺は一五歳になる。五月二九日が誕生日だ。
リビングの横をそうっと音を立てずに通り過ぎようとした。父さんと母さんは深刻な話に夢中で気がつかないようだ。
「あなた、またなの? これから私たち、どうやっていけばいいの?」
「また、仕事を探すから……」
父さんは仕事が続かない。俺が生まれる前から、ちょうど五年ごとに仕事を転々としているのだ。
(父さんは真面目過ぎるんだ)
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