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ハァ、ハァ・・・・
偶然なのか、居場所を知られてしまった。
きっと彼のような好戦的な男は何を仕掛けてくるのか分からない。
やるとしたら恐らく夜。
そこでネズミは決意した。
"それまでに、もうこの街を離れるしかない。"
そう、夜逃げ同然の引越しを決めたのだ。
恐らく俺が消えても誰もが何も思わない。
なぜなら俺はドブネズミ。
どこからともなく沸いて出る存在だ。
今にもずり落ちそうなズボンに手入れされてない無精髭。
厚手のシーツを肩に抱え、背中まで伸びた長い髪を揺らしながら。
ネズミは今日も獲物を探す。
まだどこに行くのか定かではないが。
真冬の寒さが続く中、街から街へ消えていく。
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