雪花の捕物帳〜前編〜

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夜を迎え雪が止む。 思った以上に早く雪はどうにかなった。 "もしかして天が味方しているのか?" ネズミは妙な錯覚を覚える。 ビル街の明かりが次々と消えていく。 時間にしたら日が変わるか、それくらいだろう。 動き出すにはちょうどいい頃合いだ。 高架下をくぐり、西側のビル街に向かう。 真っ白な地面が踏み荒らされたであろう無数の足跡。 天気関係なく、今日も沢山の人が行き交っていたのがわかるが、それでもいつもより人気も少なく静かな夜に感じる。 路上生活者たちの寝床が並ぶ通りが見えてきた。 ここも同様にいつもより人も少なく静かである。 まずネズミは張り紙だらけの寝床に狙いを定める。 今回は見張ってる人間もいないようだ。 今が絶好のチャンスだと確信し募金箱に手を入れる。 カランカラン・・・ よし、今回は成功だ。 握りしめた小銭の感覚を忘れぬうち、道路を挟んだ寝床の並ぶ通りに狙いを定める。 カタン! "あっ。" ここの主が乾かしている靴を倒したようだ。 ネズミは直す事なく次の場所に向かう。 信号待ちの間に悠々と報酬を数え出すと、声をかけられる。 「おい、アンタ何してんだ?」 一人の男が汚いものを見るような目でこちらを見つめている。 寝床の主だろうか。 もしやバレたのか? ネズミは困惑し、青信号になっても横断歩道のまえに立ち尽くした。
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