雪花の捕物帳〜後編〜

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ネズミは手にした小銭をポケットに入れる。 手がつけられていない炊き出しのご飯もあるところも。 冬のボーナスとばかりに根こそぎ持って行く。 沢山の手荷物を抱え、再び張り紙だらけの寝床に向かう。 主がいようが関係ない。 "中身が入っていれば盗っていくか。" 募金箱にじっと目をやるも、昨日より中身が少ない。 すると突然怒声を浴びる。 「おい!テメェ何やってんだよ!」 振り向くと、先日自分を追い払ったメガネの男と老人が立っている。 逃げようにも距離を詰められた。 もう観念するより道はない。 ネズミは腹を括った。 「お前この辺の盗み、何回もやってんだろ?分かってんだよ!」 「・・・」 「最後にいつ来たんだよ。答えろ!」 「ちょ、ちょっと前です・・・」 胸ぐらを掴まれたまま動けないネズミはそのまま立ち尽くす。
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