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ネズミは手にした小銭をポケットに入れる。
手がつけられていない炊き出しのご飯もあるところも。
冬のボーナスとばかりに根こそぎ持って行く。
沢山の手荷物を抱え、再び張り紙だらけの寝床に向かう。
主がいようが関係ない。
"中身が入っていれば盗っていくか。"
募金箱にじっと目をやるも、昨日より中身が少ない。
すると突然怒声を浴びる。
「おい!テメェ何やってんだよ!」
振り向くと、先日自分を追い払ったメガネの男と老人が立っている。
逃げようにも距離を詰められた。
もう観念するより道はない。
ネズミは腹を括った。
「お前この辺の盗み、何回もやってんだろ?分かってんだよ!」
「・・・」
「最後にいつ来たんだよ。答えろ!」
「ちょ、ちょっと前です・・・」
胸ぐらを掴まれたまま動けないネズミはそのまま立ち尽くす。
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