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「シモザワさんコイツ見といて。あの人起こしてくるわ。」
「あいよ。」
"シモザワ"という白髪混じりの老人が睨みを利かせこちらを見張る。
その横でメガネの男は寝床の主を呼ぶ。
「お兄さん起きてる?会わせたい人いるんだけど。」
「あーい・・・今出ますね。」
張り紙だらけの箱状の別世界の中から寝起きの男性の声がする。
ガバッと扉が開くと主が中から出てきた。
昨日のニット帽の男だ。
「どうしました?あれ?なんだ、また懲りずに今日も来たのか。お前来るなって言ったろ?」
この一言を聞き、メガネの男がもう片方の手で顔を張る。
パチーン!!
「テメェ嘘つきやがったな!昨日も来たのか?いい加減にしろ!」
「いや、その・・・」
「お兄さん、コイツ何回もやってるよ。おい、ここからいくら盗った?2000円くらい盗ったろ!」
「・・・」
「先輩、落ち着いて。殴るにしてもここじゃ人目が多い。場所を変えて話聞こうよ。」
またしてもこのニット帽の男は、ゴミを見る目ような冷たい目でこちらを見てくるのだった。
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