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「おい、頭下げろ!」
ネズミは公園に着くなり土下座させられる。
頭を下げるなりメガネの男にバチン!と頭を叩かれる。
「ちゃんと頭下げろや!」
「まぁ、フルカワさん。落ち着いて。」
「ごめんセムラさん、ついつい。」
何回目だろう。
目の前ではすぐにでも自分に手を上げるメガネの男"フルカワ"がニット帽の男"セムラ"に止められる光景を見させられる。
セムラが口を開く。
「あのさ、なんで路上者相手に盗みするの?やってる事は動物と同じなの分かってるよね?」
「・・・」
「ところで、昨日の約束忘れてないよね?」
「はい・・・」
「来るなって言ったよな。そしたら今回見逃すって言ったよね?」
「・・・」
まるで取り調べのような雰囲気にネズミは黙る。
俺にも黙秘権くらいあるのだから。
「昨日言われたのになんで今日来ちゃったの?」
「お金入ってないかなって・・・」
セムラの冷たく静かな目つきが怒りでグワッと見開いた。
次の瞬間彼の張り手が飛んできた。
パチーン!
「何回言っても分かんねーならもっと痛い目見るか?どうなんだ!」
「まぁまぁ、セムラさん落ち着いて。」
まさかセムラから殴られると思わなかった。
にしても厄介な二人に捕まったものだ。
このまま何されるか分からない。
ネズミはそれまでの余裕がなくなり、一気に身の危険を感じた。
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