雪花の捕物帳〜後編〜

7/7
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ
「テメェ何してんだよ!」 バコッ! ネズミはあっという間に戦意を失い、短すぎる抵抗が終わった。 「お前、立場分かってないだろ?盗みしかできないって自分がバカだって言ってるようなもんだぞ。」 セムラの一言に返す言葉が見つからなかった。 一周し、最後にシモザワの元に連れてかれる。 着くなり急に三人の談笑が始まった。 俺はもう解放ということだろうか。 "今しかない" ネズミはこれをチャンスに全力疾走で逃げる。 グチャグチャのシーツを肩に抱え、ズボンがずり落ちようとも関係ない。 「おい、待てこら!」 声が遠くなるまで、真夜中のビル街をとにかく走り続ける。 逃げ切った頃ネズミはビルの片隅で震え出す。 これが夜の寒さか恐怖によるものか。全く判別できていない。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!