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「テメェ何してんだよ!」
バコッ!
ネズミはあっという間に戦意を失い、短すぎる抵抗が終わった。
「お前、立場分かってないだろ?盗みしかできないって自分がバカだって言ってるようなもんだぞ。」
セムラの一言に返す言葉が見つからなかった。
一周し、最後にシモザワの元に連れてかれる。
着くなり急に三人の談笑が始まった。
俺はもう解放ということだろうか。
"今しかない"
ネズミはこれをチャンスに全力疾走で逃げる。
グチャグチャのシーツを肩に抱え、ズボンがずり落ちようとも関係ない。
「おい、待てこら!」
声が遠くなるまで、真夜中のビル街をとにかく走り続ける。
逃げ切った頃ネズミはビルの片隅で震え出す。
これが夜の寒さか恐怖によるものか。全く判別できていない。
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