深夜の犯行

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男は目についた缶の一つ一つに手を伸ばす。 カランカラン・・・ 金属が擦れる音が響くが、屋根を囲ってる寝床の奴らが起きる事はないはずだ。 問題はダンボールを敷いて寝てる時も顔を出してる奴らだ。 音で目を覚ます可能性はある。 恐る恐る缶に手を入れる。 カランカラン・・・・・ "成功だ。こいつら微動だにしない。" 男はまとまった金を手にその場を後にする。 自分もシャッターの前で寝ることが多く、決まった寝床はない。 だから顔が割れても狙われる可能性は人より少ないのだ。 ベルトをしていないため、両ポケットに詰めた小銭の重さでズボンがずり落ちていく。 田舎の中高生よろしく、パンツが見えるギリギリラインまで腰パンしているような格好で繁華街を歩く。 ひと勝負勝った気で歩くこの男、ドブネズミ小僧の盗人稼業は終わらない。
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