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白昼堂々
カツカツカツ・・・・・
カツカツカツカツ・・・・・・・
日本有数の繁華街であるこの街は、昼も夜も変わらず人が多い。
今日は特に日曜日。旅行者だろうと関係なく人が集まってくる。
そんな中『ネズミ』は、今日も行き交う人の様子を尻目に道路の隅に座り込む。
極力人と目を合わせない様にしながら。
自分の様な人間を見慣れていない人間に限ってこちらを見てくる。
ネズミは心底それを嫌がっている。
蔑んだ目、憐れむ様な目、嘲笑・・・
見てるだけで決して助けてくれるどころか、声をかけてくれようともしない。
その思い込みに近い感情は時に彼の原動力となり、ある行動に移す。
ネズミは今日も目を向ける。
線路越しにそびえ立つ西側のビル群を。
"やるなら今だ・・・"
休日の人気の少ないオフィス街は案外狙い時かもしれないと考え、ネズミは線路の方に向かい歩き出した。
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