雪花の捕物帳〜前編〜

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雪花の捕物帳〜前編〜

"寒すぎる・・・ホットのコーヒーを何杯も飲んだら破産してしまう。" 朝から全国的な大雪となったこの日、ネズミは凍え死なないよう必死だった。 "手持ちをとにかく増やそう、そうすればこの寒さはなんとか凌げるはずだ。" と。 そして思い立つ。 "雪が落ち着いたとき、あの場所に行こう。" そう、先日盗みを失敗した西側のあの場所に。 テレビもスマホも何もないこの男は、この大雪がいつ止むかも予想が立てられない。 夜になるのか、 翌日になるのか、 とにかくじっと待つしかなかった。 雪に覆われた真っ白な道の片隅に座り込む異様な姿を、誰も気にする事なく歩いていく。 それでも男はビル街へと視線を向け続けた。 褪せた灰色のビル街が白い空に同化し、より色褪せていく景色はとても美しいものに見えた。 自分とは正反対のもののように。
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