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日照りが続く夏の盆地。
そんなうんざりとなりそうな土地柄からか、今日も住人達はクーラーの下にのさばっている。
ちらほらと畑仕事に精を出すお年寄りが、たまの休息にはかかせない、水筒に入った麦茶を飲んでいた。
「ねぇお婆さん……。杉浦さんのお宅はどちら?」
この猛暑の中、汗一つ浮かべずに日傘一本片手に持つ少女が尋ねた。
「あぁ杉浦さん家はそこを右へ曲がって三軒先の家だよ」
「ありがとう」
ふっと微笑んでから、少女はお婆さんに教えられた通りの方向へ歩いていく。
「ひぃッ!?」
少女を見送った後、畑に視線を戻したお婆さんは腰を抜かした。
まだ青々としていたトマト達が真っ赤に熟れ、逆に見事に実っていたキュウリがすっかり萎れて畑の土の上に落ちていたのだ。
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挿絵提供:ごろ。様
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