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少女はレースの付いた白い日傘を左手に持ち、真っ黒な長い髪の毛を右手でかき上げると、ふと上を見上げた。
杉浦宅の二階へ向ける視線はどこか冷たい。
ピンポーン。
ピンポーン。
ピンポンピンポンピンポンピンポン…………ピンポーン……。
「うるせぇッ!!」
有り得ない程に喚くインターホンに耐え兼ねた様に中から人が飛び出して来た。
Tシャツパンツ姿で。
「貴様! 瑠璃様のお前で失礼だぞッ!」
少女の一歩後ろに控えていた執事が、さっと前にい出て怒鳴る。
「どっちが失礼だ、あァ!?」
見たところ十六、七の少年は目くじらを立て苛立ちを露にしている。
「ちょっと妖平ぇーなんなのもぉー」
インターホンの後に聞こえた怒鳴り声に驚いて、もう一人玄関先に現れた。
キャミソールとミニスカート姿の少女だった。
「こいつらが鳴らしたみてぇだ……。真希は上居ろよ」
「う、うん……」
「………………。………………待て女」
少年に促され少女が奥に引っ込もうとした時、黒髪の少女は口を開く。
「なんだその卑猥な格好は。お前下着も付けずに何をしていた。この世にはとんだメス豚がいるのだな」
「なッ」
少女は、とりあえずキャミソールとスカートを身に着けて出て来た事を見透かされ、怒りに震え顔を赤くする。
「お前いい加減に……!」
少年が振り上げた右腕を執事が圧倒的速さで払い除け、黒髪の少女は少年を見据えながら口の端を吊り上げた。
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