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妖平は瑠璃を睨んだまま、黙ってフローリングの床の上で胡座をかいている。
瑠璃はといえば、それを全く気にせずにティータイムを続けていた。
「ふぅ……」
いい加減に妖平からの熱い(?)視線を鬱陶しく感じたのか、先に静寂を破ったのは瑠璃だった。
「いつまでそうしているつもりなんだ?」
瑠璃の切れ長で整った二つの眼は、妖平を射る様にして、真直ぐに向けられる。
「お前らが消えるまでだ」
瑠璃からの視線とぶつかって、妖平は若干たじろぐが調子は変わらない。
「そうか。ならば一生そうしているんだな」
「は!? 一生!? ふざけんなよ、一生居座るつもりか!?」
妖平は声を荒げて瑠璃を睨み付けた。
「貴様! 先程から少々無礼が過ぎるぞ!? 言葉を慎まんか!」
黒夜は先程からの妖平の、瑠璃へ対する態度に冷や冷やしていた。
いつ瑠璃が怒りだすか分からず不安なのだろう。
なぜなら、瑠璃が怒りだしてしまったら面倒なことになってしまいそうだからだ。
「黒夜……いい」
確かに突然押し掛けて来たのは自分達なのだからと、瑠璃はまだ理性を保ちながら黒夜を止めた。
「……。瑠璃様に感謝するのだな。本来ならば貴様等人間なんぞに……」
「黒夜ッ!」
言い足りずに言葉を続ける黒夜を言葉で止めながら、瑠璃は軽く右手を黒夜の前に出す。
「あ、はい……失礼致しました」
黒夜は取り乱したことを謝罪してから、持って来た荷物の中から小さな包みを取り出し、それを瑠璃の手の平に置いた。
「妖平よ。これを見るがいい」
瑠璃は包みを開いて妖平の視線上に何かを晒した。
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