プロローグ

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「今日のディナーはチキンステーキね。 流石は村長、リッチね」 ナオミは村長の前まで進むと、熱々のチキンステーキを一摘まみして口へ運んだ。 「うん! ジューシーで美味しい! ネロも食べて!」 「……」 ネロは村長の前まで進むと剣を振りかぶった。 チキンステーキはこの男を始末してからだ。 「ちょっと待て! 何の真似だ!」 慌てて立ち上がろうとする村長だったが、それより早くナオミの剣が肩を貫いた。 「ひぎぇぇぇえ!」 情けない声が室内に響くが、助けは来ない。 ナオミはとことん容赦のない女だ。 「な、何でこんなことを! 私が何をした!」 殺されるような覚えのない村長は必死に叫ぶ。 確かにこの男に罪はない。 「知りたい?」 ナオミは苦痛に悶える村長の顔を覗き込みながらチキンステーキをもう一摘まみ。 ……ネロも食べたくなってきた。 「うん、知りたい」 「じゃあ教えてあげるね。 依頼者はこの村に住むタナカ。 彼、村長になりたいんですって」 思えば馬鹿げた殺しだ。 村長の役職を狙う村人の依頼でこの男は死ぬのだ。 どんな理由であれ、ネロ達は金さえ積まれれば誰でも殺す。 女、子ども、聖職者……神だろうとも。 それが殺し屋だ。 「そんなふざけ…… ひぎぇぇぇえ!」
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