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肩に刺さった剣をナオミが捻り、口ごたえしようとする村長を黙らせる。
……やりすぎだ。
「あなたは確かに良い村長ね。
村人から集めた金は村の運営のためだけに使っている。
でもね、それじゃ困る人達がいるのよ」
「そうだ!
私は村の発展に尽力している!
誰も不満はないはずだ!」
「タナカは村長になって村の運営費で豪遊したいんですって。
彼、ブサメンでモテないから隣町にでも女を買いにいくんじゃない?
あなたを殺したら、この屋敷に火を放つわ。
不幸な事故として片付く筋書きね」
自分が殺される理由を聞かされた村長はしばらく呆然としていたが、突如狂ったように笑いだした。
「フフッ、フハハハハハ!」
「何がおかしいの?」
ナオミは首を傾ける。
「フフッ……
私が村長になった時も殺し屋に前村長を始末させたんだ。
目的は悪政を正す為だったがね」
つくづく因果な物語だ。
ならば心は痛まない。
「何それ!
アハハハ!」
ナオミもつられて笑いだした。
何が面白いのかネロには分からない。
ザシュッ!
ゴトン……
村長の首が床へと落ち、血飛沫とともに静寂が訪れる。
しまった、チキンステーキは先に食べておくんだった。
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