Ⅲ 宴の後 - après la fête -

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Ⅲ 宴の後 - après la fête -

 目を覚ますと、朝の光の中にセルジュがいた。裸のまま、ノラの栗色の髪を指先に巻き付けて遊び、何か物思いに耽るような目でノラの毛先をぼんやりと眺めている。  ノラは急に恥ずかしくなって、もぞもぞと頭を布団に隠した。  髪の先までセルジュのものにされてしまったように錯覚したからだ。しかし、すぐに布団が剥ぎ取られてセルジュの優しい笑みに掴まった。 「からだは、痛みますか」 「ちょっとひりひりする。でも問題ない。あの…たくさん気を遣ってくれたから」  顔が熱い。寝起きはいつもぼんやりして、どちらかというと体温が低いはずなのに、起き抜け一番でこんな身体が熱くなるなんて、有り得ない。きっと昨夜かけられた魔法が残っているのだ。 「よかった」  セルジュがノラの髪を指で梳き、額にキスをした。  ふと、他の女性にもこうしたのだろうかと考えた。誠実なセルジュ・アベル卿の恋人となる女性は、きっと幸せだろう。こんなふうに朝まで寄り添って体温を分けてくれる男性は、きっとそれほど多くない。男性経験のないノラでもそれくらいは分かる。  どうしてか、胸が小さく軋んだ。 (服を着るまでは、こうしていてもいいだろうか)  ノラはセルジュの胸に頬を寄せ、自然に回ってきた腕の中に身体を収めた。  しばらくこの温もりにうっとりしていると、セルジュが口を開いた。 「…あなたにして欲しいことがあります」  低く、少し硬い声だ。 「えっ」  ノラが頓狂な声を上げたのは、閨のことを連想したからだ。無理もなかった。甘い夜を過ごし、まだ互いに裸のままでいる。 「あ、あの、あまり技術的なことには自信がないのだが大丈夫だろうか」 「違います」  セルジュは表情少なく言った。ノラが知っているセルジュの顔よりも、ひどく陰鬱だ。どういうわけか、胸が重くなった。 「カンディード・モリアックを告発してください」 「え。カン……ん?」  と言ったまま、ノラは暫く言葉を失った。寝耳に水だ。セルジュとモリアックがどう繋がっているかさえ、全く見当もつかない。 「あの…服を着てから話を聞いてもいいかな」  ようやく出た言葉がこれだ。  結局、ノラはセルジュの要求を呑んだ。  とは言え、全てを鵜呑みにしたわけではない。条件を付けた。 「借用書を実家から取り寄せる。先代も随分前に亡くなっているから事実が確認できないが、もしあなたがたにわたしたち家族が見つけられなかった矛盾点を見つけることが出来るなら、告発する。コロンベット家としても不当な接収であるならば、祖父の名誉のために黙ってはおけない。ただし、モリアック閣下に何ら落ち度がなく正当な接収だとわかった場合、わたしは無実の人を告発することは出来ない。例え恩人の頼みでも」 「…あなたらしい」  セルジュは隙なくドレスを着て背を伸ばしたノラを、眩しい思いで見た。これほど朝陽が似合う女性には、出会ったことがない。 「ひとつ、教えてほしい。カンディード・モリアックを告発することが本当にあなたに報いることになるのか?」 「そうです。わたしの出世のために」  セルジュは抑揚のない声で言った。 「そうか」 「こんな男でがっかりしましたか」 「どうして?わたしは職務に忠実な方を尊敬する。もしわたしを利用することに罪悪感があるなら、そんな必要はないんだ。わたしもあなたの馬車に押しかけて、あなたの能力と交友関係まで利用してしまった。それに、閨のことの手ほどきまで…。感謝こそしても、がっかりなんて有り得ないよ」  今日もアリエノール・コロンベットは憎たらしいほどまっすぐだ。彼女の前だと思う通りにいかない。言葉も、振る舞いも、三日前に出会ったばかりだというのに、彼女にありのままをぶつけたくなる。  ノラの見せる心のままの姿が、そうさせるのかもしれない。  モリアックの不正の根拠を見つけなければならなくなったことで、想定よりも複雑な仕事になってしまった。それなのに、そんなことはセルジュにとって問題にならなかった。  問題は、もはやただの友人としてノラの隣に立つことができなくなってしまったことだ。完全な利害関係になってしまった。  しかし、任務のためにノラに近付いたはずの自分がそう思っていることこそ、最も厄介な問題だ。  それからというもの、ノラは忙しい日々を送っていた。  連日茶会や夜会に顔を出し、時間を見つけてはセルジュに紹介してもらった王都の貴婦人に人気の本を読んだり、少ない手持ちのドレスを手直ししたり、知り合った人たちに手紙を書いたりと、とにかくやることが多い。  それらも、セルジュの教えのうちだ。  ささやかな心遣いが見える手紙をまめに書き、次会った時の話題になりそうな文面を添えておくことや、若者に知識を授けたい年長者たちの懐に入って知恵を得、この社会における既成概念に感覚を馴らすことが肝要だとセルジュは言っていた。  ノラは愚直だった。  洗練された貴婦人たちの集まりに積極的に参加して彼女たちの仕草や話し方を学び、教養を深めるために詩や音楽のサロンにも顔を出した。  こうした集まりに田舎者のノラが誘ってもらえるようになったのも、春の宴で顔を売ったおかげだ。  最初のうちは大いに注目されていたセルジュとの関係を根掘り葉掘り聞かれて曖昧にはぐらかすことも多かったが、半月ほど経つと宴に連れ立つパートナーが複数いることが認知され、特定の男性とのことを訊かれることはなくなっていた。  ノラがセルジュと再び会ったのは、そういう頃だった。アストレンヌの空気が春らしい湿気を帯び、何日も続く晴天の合間に、時折細い雨が降る時節だ。  この日もセルジュは完璧な騎士だった。馬車に乗るときからノラをエスコートし、最初のダンスに誘い、踊っている間、ずっとノラを熱っぽいまなざしで見つめていた。 「紹介した本は読みましたか」  ただの世間話なのに、声が甘い。ノラは不意に情事の時の声を思い出してしまった自分を殴りたくなった。 (やめろ、ノラ。不埒だぞ) 「読んだ…けど、どれも不貞やら復讐やらが主題で何て言うか…わたしの好みではなかったな。でも確かに王都の貴婦人がこぞってあれを読んでいるみたいだから、精神的に抑圧されている方が多いのではないかと心配になってしまった」 「ははは!」  ノラは驚いてセルジュの顔を見上げた。なんとあのセルジュ・アベル卿が口を大きく開けて笑っている。 「それは確かに、そうかもしれないな。みんながあなたのように翼を持っていたら、全く違うものが流行るでしょうね」 「翼なんか持ってない」 「自分の背中は見えないものですよ、ノラ嬢」 「そうかな…」  ノラは首を後ろへ巡らせた。実際に背中が見えるかどうか試してみたのだ。が、この瞬間にセルジュがノラの腰を支えてぐいと身を乗り出したために、ノラは腰を反らせてセルジュの腕に身体を預ける格好になった。  にやりと笑ったセルジュは、まるで悪童だ。  紳士的で人望厚い騎士のセルジュがこんな顔をするなんて、一体どれくらいの人が知っているのだろう。ノラはどくどくと打ち始めた心臓を無視して、悪戯を咎めるように目をぎょろりとさせ、体勢を戻して元のステップに戻った。 「じゃあ次はあなたが本を紹介してください。どんなのが好き?」 「旅行記だな。誰かの目を通して遠い国を見ると、自分が本当にそこにいた気分になれる。世界は面白くて美しいものなんだなぁって、人生がまた愛おしくなるんだ」  次にノラがセルジュの目を見たとき、ほんの一瞬、息が止まった。銀色の目が甘美に翳り、あの夜、身体を重ねた時よりももっと確かな熱を孕んで、ノラを映している。楽団の奏でる曲も耳に入ってこない。足さえ自分で動かしている気がしなくなった。 「あ、アベル卿…高嶺の花に夢中な哀れな男の振りは、もうしなくてよいのでは?」  ノラは堪りかねてこんなことを口走った。手ほどきは、春の宴と共に終わったはずだ。こんな調子では、とても冷静でいられない。 「そう思いますか?」  セルジュの視線は変わらなかった。  いっそのこと今度はセルジュがノラを利用する番だと割り切って素っ気なくされた方が、幾分か気持ちが楽だ。 (すごいな…演技でこれってことは、この人って本当の恋人にはどんなふうになってしまうんだろう)  ノラは数日前に参加した貴婦人たちの茶会で、近頃セルジュ・アベルが高級娼婦(クルチザンヌ)であるマダム・ベケットの愛人となり、ここのところ足繁く通っているという話を聞いていた。  マダム・ベケットが高級娼婦だったことはその時に知ったが、確かにあれほどの美貌と教養があれば納得だ。  高級娼婦は、ただの娼婦ではない。並外れた美貌と才気を兼ね備えていなければならず、肉体だけではなくその高い知性と教養で男性と渡り合うことのできる、謂わば本物の高嶺の花だ。セルジュとマダム・ベケットが特別に親密な仲なのは、ノラも実際に見たから知っている。 (なるほどアベル卿ほどの御仁なら、優美なマダム・ベケットとも釣り合いが取れるというものだ)  あの時は何も思わなかったのに、今は違う。  セルジュがどんなに優しく女性に触れるか、どんなに甘い声で名を呼ぶかを知ってしまったからだ。あんなふうに触れられるのが自分だけならどんなに良いだろうと、持つベからざる欲が湧いてしまう。 (醜い感情だ。コロンベット家の女たる者、かくあるべきではない)  ノラは顎を上げ、傍目にはしどけなく見えるような仕草でセルジュの耳元へ唇を寄せた。 「アベル卿、この後時間をいただけるだろうか。あなたに預けたいものがある」 「…ではわたしの屋敷で」  ノラはドキリとした。もう手ほどきは終わったのだから、この前と同じことは起こり得ない。それなのに、セルジュの目の奥にあの夜と同じ鈍い光が見えた。  セルジュはこの半月で、コロンベット家の十五年分の財政状況の詳細を手に入れていた。  ノラが実家から取り寄せた借用書には、十年前に亡くなった先代の当主がカンディード・モリアックから借りた金額と、双方のサインが記されていた。十年前、荘園を接収するためにコロンベット領へやって来たカンディード・モリアックからノラの父親が受け取ったもので、もう一枚同じものをモリアックが持っているという。 「ノラ嬢、荘園の鉱山がどの程度の利益を出していたか知っていますか」  セルジュの問いに、ノラは首を振った。のんびりとしたコロンベットの家風を体現したような存在だった先代があまり後継の教育に熱心ではなかったために、準備もなくあれよあれよと後を継いだノラの父親もそれ以前の財政状況を把握していなかった。ただ、気付いたときには手を回せないほど家計が火を吹いていたのだ。 「借りたとされる額は確かに莫大ですが、収めた税額を見る限りでは、少々切り詰めれば鉱山の収入で賄えます。家を守るための収入源を担保にするほどの借金じゃありません」 「じゃあ、やっぱり騙されてたのか」 「その可能性は高いです。サインも偽造かも知れません」  セルジュは荘園を奪われる前のコロンベット家からの徴税記録を見せ、自室のキャビネットからグラスを二つ取り出して、琥珀色の酒を注いだ。 「モリアックを告発してください」  決然とした口調だ。これは、頼みではない。 「わかった。コロンベットの人間に二言はない」  ノラは軽快に言って、セルジュからグラスを受け取った。  グラスを触れ合わせて互いに飲み干した後、セルジュは眉の下を暗くして口を開いた。 「もし、荘園が戻ってくるとしたら、急いで結婚する必要はなくなるんじゃないですか」 「ハハ、そういうわけにはいかない。荘園が確実に戻ってくるかわからない状況で目的を見誤るようなことはしないよ。それに、早くよい結婚をするに越したことはない。苦労した両親を安心させたいから」  ノラが快活に笑った途端、セルジュはひどく低劣な考えを口にした事に気付いた。  荘園を取り戻せる確率は、疑わしい証拠が揃っているとしても四割程度だ。モリアック家にはそれだけの権力と後ろ盾がある。それをわかっていながら、取り戻せた場合の例え話を口にするなど、無責任も甚だしい。  それでも、ノラには訴訟に負けると思っていることを悟られてはならない。万が一にも途中で降りられたら、今までの努力が水の泡だ。 (俺とモリアックと、何が違う)  コロンベット家の人間を騙しているという点では、同類だ。差を付けるとすれば、セルジュの方がなお悪い。ノラの処女を奪ったのだから。  セルジュとの仲を周囲にあれこれと詮索されていたのは、ノラだけではなかった。セルジュもまた、王城勤めの騎士たちにあれは誰かとか、そんなにいい女なのかとか興味本位で訊かれ、その度に 「気高い女性だから、礼儀正しく接すれば相手にしてくれるかもしれないな」  などと本心を隠してノラへの態度が悪くならないよう工作していた。  そのくせ、ノラが他の誰かと夜会に参加したという話を聞くたびに辻褄の合わない独占欲が湧き、彼女の初めての男は自分だと暗い悦に浸った。  春の宴でノラの過ごした二日間のうちに、自分という人間が最も惨めな変貌を遂げてしまった気さえする。  まさに今、目の前でノラが他の男と出た某とかいう貴族の茶器コレクションを愛でる会の話を聞いていても、ノラの結婚相手探しが順調なことを喜ぶよりも、そこに乗り込んで某の自慢の茶器を全部ぶち壊してやりたい衝動の方が大きかった。 (浅ましいことだ)  しかし、セルジュはそういう自分を心底憎めるほど潔癖な性分ではない。  セルジュは静かにソファを立ち、向かいのカウチに腰掛けるノラに近付いた。 「わたしの手ほどきは役に立ちましたか」 「もちろんだ。話し方も慣れてきた。あなたと話すと安心して元に戻ってしまうのだが――」 「違います。こちらのほうは?」  セルジュがノラの唇に指で触れた瞬間、ノラの頬に血色が昇り、夏空のような目が真正直に泳いだ。 「う。え…あの」 (他に試した男がいるな)  胸の底に溜まった澱が、どろりと蠢いた。 「もちろん役に立ってる。けど…うまくできているかわからない」 「誰ですか」  こんなことを聞いてどうしようというのか、自分でもわからない。セルジュはぐらぐらと煮え立つように込み上げてきた怒りが顔に出ないよう必死で奥歯を噛んだ。一方で、ノラはあっけらかんとしている。 「ランバル子爵家のアンリ閣下だ。一緒にお酒を飲んだ後にキスしていいか訊かれたから、減るもんでもないしいいよと答えたんだが…うーん、何て言うか…すごくぎこちなかったんだ。口を開けられなかった。あなたの時みたいに、こう…スッと。スッといかないんだよな。なんでだろうか」  ノラは神妙な思案顔で腕を組んだ。ついさっきまで困惑して顔を赤くしていたくせに、今度はまるで構図を考える画家のような顔つきだ。 「ふ」  一瞬で毒気を抜かれてしまった。 「ではもう一度やってみますか」 「え?」  セルジュは身を屈め、誘惑するようにノラの細い顎を指でなぞった。 「今宵も手ほどきを望むなら、あなたからキスしてください」    ノラは動いた。  セルジュの首に手を回して唇を触れ合わせた瞬間、セルジュが頬を大きな両手で挟み、強い力で引き寄せて、唇の隙間から舌を這わせてきた。 (さすがアベル卿。鮮やかな手際だ…)  頭がすぐに熱っぽくぼうっとしてくるのも、セルジュの技量によるものなのだろうか。絡む舌の動きが次第に激しさを増し、いつの間にか自分もその行為に没頭してしまう。  自分がどう誘導されて何をしているかもよく分からないうちに、カウチに身体を倒され、首筋に吸い付かれていた。 「わたしの他に、ここにキスした男は?」 「い、いない。あ。…けど、あの、ちょっと待ってくれ」  僅かに残ったノラの理性が思い出させたのは、マダム・ベケットのことだ。 「まさかこの先はしないよな」 「します」  それが何だとでも言いたそうだ。セルジュの唇が肌を吸い、手のひらが腰を滑って、背中の留め具を外そうとした。 「わあっ!ちょっと待ってくれ」 「なんです」 「今更すごく不躾だが、こ、これ以上は何て言うか…不義理ではないだろうか」 「義理を立てた相手でもいるんですか。アンリ・ランバル?」  セルジュの暗い声が、肌に触れた。耳の後ろに唇が触れ、頸から這ってきた指は砂を掴むような強さで髪の中に触れた。 「そういうわけでは…。それよりも、えーと…想い人というのかな。あなたの――」  その先の言葉は続けられなかった。セルジュの口が噛み付くような激しさで唇を覆ってきたからだ。  ノラはその激しさに息を呑み、セルジュの広い肩にしがみ付いた。乱されたドレスの下に確かな熱を持ったセルジュの手が入ってきて、ノラの中心に触れた。 「ん、ふ…!」  からだが覚えている。この手がどんなに優しく、どんなに淫らなことをするか。 「待って…」 「待ちません」  ノラの腹の奥が早くも蕩け出して、切望を滲ませた。セルジュの唇と指が、思考を熱に浮かせて全身に火花を散らし、脳へ突き抜けるほどの衝撃を与えた。全てを覚えていたいのに、すぐに何もわからなくなる。 「これは手ほどきです、ノラ。他の男が気になるなら、何も見ないで、そいつを思い浮かべていればいい」 「ほかの…?」  ノラは浅く呼吸をして、まだ忘我から抜け出せない頭を小さく傾げた。 (何を言っているんだろう…)  言葉の意味を理解する前に、ドレスが身体にまとわりついたままうつ伏せに転がされて臀部を掴まれ、熱く硬いセルジュの一部が尻に触れたと思った次の瞬間、自分でも知らない身体の奥に、強烈な衝撃を受けた。 「あぁっ――!」  恥ずかしい。獣のような格好をさせられて、激しく中をかき乱されているのに、視界が熱で滲むほど気持ちいい。溶け出した快楽がセルジュを包み、ひどく締め付けてもっと奥へ誘っている。 「…ッ、ノラ。ああ」  背中に落ちてくる声でさえ熱かった。身体をベッドへ縫い付けるように手首を掴む手も、腹の奥に打ち付けられる熱も、指先まで痺れが伝わって、全身を侵していく。  また自分の知らない場所にセルジュが到達して、ノラは激しい衝撃を受けた。その間にも鷹が獲物の肉を食むように背中を何か所も啄まれ、乳房の先端を指で弄ばれ、堪えきれなくなった肉体が強烈な波に意識を放り出した瞬間、身体の後ろでセルジュが小さく震えた。  荒い呼吸を繰り返しながら、ノラは軋むように胸が痛むのを忘れようとした。
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