Ⅴ 落ちる恋 - tomber amoureux -

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Ⅴ 落ちる恋 - tomber amoureux -

 ノラが議会に招集されたのは、その二日後のことだった。王城に足を踏み入れるのは、春の宴以来だ。  王族や上位貴族たちの集まる議場へと進む間、セルジュとは必要以上の会話はせず、モリアックによる荘園の接収が不当だったと型通りの口上を述べ、セルジュが後援者としてモリアックの不当を裏付ける書面を議会へ提出し、議場を出た。 「では、評決が出たら報せを送ります」 「うん。あなたの成功を祈っている。アベル卿」  出会った夜と同じように握手し、二人の取り引きは終わった。  この訴えにより議会から通達を受けたモリアックは、息子のフロランを面罵した。 「この役立たずが!こうなる前にあの小娘を丸め込むのがお前の役目だろうが!」 「まあまあ、父さん。彼女遊びに誘えばついてくるのに思ったより靡いてくれなくて、じっくり攻略してるところなんですよ。訴訟はその後で取り下げさせれば良いじゃないですか。評決が出るまで時間稼ぎくらいできるでしょ?」  フロランはのらりくらりと言って、カウチにゆったりと横たわったままワインを飲んでいる。 「大丈夫。邪魔者を排除するために考えがあるんです。狩猟大会の日を楽しみにしててください」  カンディード・モリアックは息子を胡乱げに一瞥した。  初夏の日差しが肌に照りつける昼下がり、ノラは乗馬用に仕立て直したドレスをまとって王都郊外の森へ狩りに出た。  時折催される貴族の遊興の一環で、今回はアンリの父親であるランバル子爵が主催している。  ノラは葦毛の馬に跨ったアンリと一緒に森へ入った。アンリは儚げな面立ちの優男だが、外で活動することが好きらしく、ノラと馬を並べるのはこれで三度目だ。一度目はランバル子爵家の馬場で馬術の練習をし、二度目は遠乗りをした。いずれも、ノラはアンリの顔を立てるつもりで後ろを走った。  この日は、少し気が抜けていた。セルジュのことで頭がいっぱいだったからだ。  雨に濡れてゴーティエ家へやってきた夜、どうしてキスをしたのか訊けずにいる。訊かない方が良いのかもしれないが、このままセルジュの心を何も知らないうちに二人の関係が無味なものになってしまうのは、どう考えても悲しい。 (こういうのを未練と言うのだろうか) 「…あ。しまった」  そんなことを考えているうちに、ずっと後方にアンリを置いてきてしまった。 (でもあそこに焼いたら美味しそうなノウサギがいるんだよなぁ)  ノラは二十メートルほど先でガサガサと森の草を喰むノウサギを狙い、矢を引いた。  その後もノラはうっかり一人で狩りに没頭してしまった。じっとしているとセルジュのことを考えてしまいそうだったからだ。  三羽のウサギに加えてキジを一羽仕留めた後、ノラは観念してアンリを探しに後方へ戻った。森の獣たちはご馳走を作るのに十分すぎるほどの贄になってくれた。これ以上は無益な殺生だ。  休憩用の山小屋に差し掛かったので扉を開けてみると、果たしてアンリはそこにいた。予想外だったのは、板敷きの床の上で見知らぬ婦人と裸で抱き合っていたことだ。 「おっ…おお。…お邪魔しました」  それだけ言って後ずさりしたノラに、アンリは裸のまま追い縋った。 「け、結婚したいのはあなたです!信じてください、アリエノールお嬢さま!」  鬼気迫る勢いだった。儚げなこの青年がこれほど大きな声を出せるとは、予想していなかった。  ノラは返す言葉が見つからず、無言のまま縄で括った獲物をヌッと目の高さまで上げた。脅かすつもりはなかったが、この場合、そう思われても仕方がない。血に濡れたウサギと鳥を間近で見た瞬間、アンリは仰天して固まった。 「わたしは早いところこの子たちの血を抜かないといけないから、もう行きます。あなたも外に出るなら…それ(・・)を仕舞った方がいいと思う。では」 「待ってください!」  忠告したにもかかわらず、アンリは股の間のものをぶらぶらさせながらノラのドレスの裾を掴んだ。 「ひっ」  べたべたに汚れたものをドレスに付けられては堪らない。ノラはさすがに肝を冷やして後ろへ下がった。この拍子に、裾を掴むアンリの白い手を土のついたブーツで掠めてしまった。 「ああ!」  と、アンリが盛った犬のような嬌声を上げたことに、ノラはまたしても仰天した。 「アリエノールお嬢さま!そのおみ足で行儀の悪いわたくしめを踏みつけ、姦通の罪を罰してください。ずっとこの欲望を叶えてほしいと思っていたのです。あなただけに…」  アンリは仔犬のような純真な目でノラを見上げ、恍惚として言った。  ノラは絶句した。あまり他人の性癖をとやかく言いたくはないが、この男は正真正銘の変態だ。 「い…いいです……」  ノラはすぐさま馬上の人になり、森を駆けた。  愛人からこの顛末を聞いたフロランは、自室のベッドの上で瀕死の蛇がのたうち回るように身をよじって笑い転げた。 「ははーははははは!!ひぃー!ああー!僕も見たかった!」  愛人の一人を狩りに参加させてアンリを誘惑させ、コロンベットの令嬢への求婚を阻むだけの計画だったが、予想外に面白い事態が起きた。 「まさかあのひょろひょろ坊ちゃんが変態クソ野郎だったとはね!はははは!ああーおもしろい」  いかにアリエノール・コロンベットが寛容でも、これほどの事態となれば万が一にもアンリ・ランバルの求婚を受ける事は有り得ないだろう。  フロランは豊かな収穫をもたらした愛人にキスをして、身繕いを始めた。 「ふぅ…。さて、浮気された上に求婚者がど変態だと知ってしまったコロンベットのお嬢さんを慰めに行こうかな」  今こそコロンベットの娘を手に入れる好機だ。  この夜、セルジュはマダム・ベケットの屋敷で酒を飲んでいた。かたわらに酌をする(おんな)がいるが、会話という会話は殆どしていない。娼が青いガラスの杯を三度目に満たそうとした頃、上階からマダム・ベケットが現れて、それとなく娼から酒瓶を取り上げ、酌の番を交代した。 「わたくしには冷たくするくせに、ちょくちょく顔をお見せになるのはどういうお心づもりなの?蜜蜂さん」 「アベルです、マダム・ベケット」  セルジュはビロード張りの豪奢なソファに身を預け、グラスに満たされた琥珀色の蒸留酒を呷った。喉が焼くように、酒が喉を流れていく。それなのに、少しも酔えない。 「ここならただで酒が飲めますから」 「呆れたこと!そういうだらしない姿をノラお嬢さまにも教えて差しあげたいわ。良い機会だからお手紙の返事に書こうかしら」 「手紙?」  セルジュは身体を起こした。 「律儀よねぇ。わざわざ連絡をくださったのよ。春の宴で協力してくれたのに、目前だった婚約が破談になってしまったからわたくしに申し訳ないって」 「破談?どうして」 「さあ。それはご本人にお聞きになれば良いでしょ。お友達なのですから」  言い方に少々棘がある。マダム・ベケットにはノラとのことを見透かされているような気がした。 (破談は、俺のせいかな)  こんな風に思うのは、恐らく自意識過剰というものだろう。事実はきっと違う。そうであって欲しいと、心の隅で思っているからだ。 (なぜ俺には教えてくれないんだ)  そういう気分もある。が、最後のやりとりを考えれば当然かもしれない。これが最後だと言って唇を奪ったのは自分だ。 「ああ、いた。今日もここかよ」  と、程なくしてデシャンが顔を見せた。  デシャンはマダム・ベケットの手の甲にキスをして挨拶し、しずしずとマダム・ベケットがその場を離れるとセルジュの隣にドカッと腰掛けた。 「…彼女は全て知っていた」  視線をグラスから移すことなく、セルジュは口を開いた。デシャンが如何に自分をよく知っていようと、こんなことまで言う必要はないのに、言わずにいられなかった。 「ノラ嬢には全部話したんだろ」 「俺が父の使い走りだとは言っていない。訴訟には負けるだろうと思っていることも」 「ノラ嬢は賢い。それくらいのことはわかるだろうし、交友関係が広がればお前の話も耳に入るだろうさ。当然だ。なのになんでそんなに凹んでるんだ?」 「さあな」  セルジュは口を閉ざして酒に口をつけた。  親に慈しまれて育ち、家族を宝物のように大切にしているノラに、自分の家族の中での惨めな立場を知られたくなかったのかもしれない。  ノラが信じる自信に満ち魅力的な‘アベル卿’の姿を、そのまま彼女の中に留めておきたかった。  勝敗の目算のことについてもそうだ。彼女がこの件から降りるかもしれないからなど、建前に過ぎない。ただ、負けるとわかっていて訴えをけしかけるような無責任な男だと思われたくなかっただけだ。 「虚栄心かな」  そう言葉にしながら、心ではこれも建前だとわかっていた。  もっと簡単で、もっと愚かなこと――恋に落ちたからだ。 「…なんでもいいけど、彼女が大切ならよく聞けよ」  セルジュはようやく顔を上げて、デシャンを見た。 「モリアックは時間稼ぎをしてる。議会の招集には病気を理由に応じていない。実際、屋敷はおろか寝室からも出ていないそうだ。医師まで呼んで周到に辻褄合わせをしてる」 「まあ、それくらいのことはするだろうな」  セルジュは興味なさそうに答えて、酒を口に含んだ。実際、この件に興味を失っている。目の前にあることといえば、ノラ・コロンベットだ。 「ただの時間稼ぎじゃないぞ」  デシャンは言いながらセルジュの手からグラスを奪って酒を口に含み、顔をしかめた。セルジュがグラスを取り返そうとしたが、デシャンは離さなかった。 「おい」 「息子をノラ嬢に近づけて訴えを取り下げさせるつもりだ」 「は?」  事の仔細を聞いたセルジュは、マダム・ベケットの屋敷を飛び出した。 (くそ)  目算が甘かった。  ノラを度々連れ出している男がどうやらモリアックの庶子らしいという話を聞いて、ピンときた。唯一の未婚の息子であるフロランは、堅苦しい公の集まりには殆ど顔を出さない割に社交界では名の知れた放蕩者だ。ただ遊び歩いているだけならばそれほど害はないが、親の金で違法な賭博場や娼館に出入りしている。が、それらの嫌疑はモリアックが巧みに揉み消している。  その男が、ノラに近づいた。目的は明らかにノラを懐柔することだ。  例えばノラとモリアックの息子が結婚すれば、ノラに訴えを取り下げさせて、荘園の所有権はモリアックが掌握したまま、金銭的な援助を対価としてコロンベット家を黙らせておくことができる。いかにもモリアックが考えそうな手だ。  だが、聡明なノラがフロラン・モリアックのような男の求婚を受け入れるとは思えない。  フロランも同じ考えに至ったのだろう。良好だったアンリ・ランバルとの関係が終わったことにも、フロランが噛んでいるかもしれない。邪魔者を消した後、フロランがノラと確実に結婚するために取る手段は、限られている。  誠心誠意彼女に尽くして愛を得るか、道理に外れた手段でノラが結婚を承諾せざるを得なくさせるか、どちらかだ。  まず、前者はあり得ない。 (警告しなければ)  セルジュはゴーティエ家の門を叩き、壮年の執事にノラと会わせて欲しいと頼んだ。  執事の顔を見るに、歓迎はされていない。無理もないことだ。以前も突然晩に訪ねて夕食の時間を邪魔した挙句、嫁入り前のノラの部屋でとても短いとは言えない時間を過ごしたのだ。 「ノラお嬢さまはお夕飯前にお出かけになりました」 「誰と」 「お名前は存じ上げません。身なりは良いけれどなんだか遊んでいそうな紳士が馬車でお迎えに見えました。夜の観劇会があるそうで、お帰りは遅くなると聞いています」  血の気が引いた。「夜の観劇会」は、フロラン・モリアックをはじめとする放蕩仲間の間でだけ使われる隠語で、いわゆる乱交パーティーのことを指している。 (彼女を傷物にして求婚に応じさせようというのか)  背筋がぞっとするほど悍ましいやり方だ。だが、並ならぬ努力で築き上げた評判が落ち、王都で結婚相手を見つけられなくなれば、ノラは当初の目的を叶えるためにやむなくフロランの求婚に応じるかもしれない。  ノラ・コロンベットは家族のためにどこまでも身を犠牲にできてしまう女だということを、セルジュは知っている。 「馬車はどっちへ向かった!」  品行方正な花形の騎士の仮面も忘れ、セルジュは声を荒げた。驚いた執事が指さした方向は、王都の南だ。新しい遊興施設が多くある場所で、夜遊び好きの富裕層の若者が集まってくる。  セルジュは胸に迫る焦燥を押し殺し、馬の腹を蹴った。  この日の夕刻、フロランは前日から前触れを出した上で、ゴーティエ邸へノラを迎えにやって来た。  ノラは、フロランの明るさと奔放さが嫌いではない。さすが遊び人だけあっていろいろな遊びを知っているし、王都の夜の楽しみ方を存分に教えてくれる。  が、結婚相手としてはいささか考えものだ。軽薄すぎるし、如何に金を持っているとしても金遣いが荒すぎる。それに、口説いてはくるものの、フロラン自身が結婚を望んでいるようにはどうしても見えなかった。  この夜の誘いに応じたのは、アンリとの付き合いを解消した手前、少々焦っていたからだ。それに、自分の頭を整理するための話し相手が欲しかった。セルジュとは気まずいままだし、デシャンはセルジュに近すぎる。一方フロランは程よく部外者で、ノラ自身に見せかけの態度ほどの関心がなく、取り止めもない話をするにはちょうどよかった。  フロランは、話術が巧みな男だ。ノラは王都の南にある小さな小洒落た料理屋で共に食事をしながら、その術を学ぼうとしていた。  ところが、ずっと頭の中を占めているのは、別のことだ。 「ノラ嬢」  不意に呼ばれて、ノラはぼんやりと顔を上げた。 「あれ。アベル卿…」  セルジュがそこにいる。目の前に座っていたのはフロランだったはずだが、いつの間に入れ替わったのだろう。 「いつ来たんだ?」 「最初からいますよ」  セルジュが楽しそうに笑い声をあげた。 (そうだったっけ)  ちょっと酒を飲み過ぎたかもしれない。なんだか頭がふわふわして、妙な気分だ。 「そろそろ頃合いです。観劇会に行きましょうか」 「うん」  ノラはセルジュの手を取り、立ち上がった。フラリと足がよろけて胸にぶつかったとき、違和感に気付いた。 (違う匂いだ)  セルジュはもっと甘くて、春が芽吹き始めた季節の風を初めて嗅いだときみたいな匂いがする。  ノラがもう一度顔を上げると、自分の身体を支えている男はフロランになっていた。 「フロラン閣下?」 「そうですよ、ノラ嬢。フロラン・モリアックです」 「ああ、モリアック家の方だったのか…」  それはなんだかまずい気がする。何か理由を付けてすぐに帰った方が良い気がするが、どういうわけか頭が鈍って何も理論的に考えられなかった。 (どうしてモリアック家の人と関わらない方がいいんだっけ)  考えがまとまらない。気付いたときには、フロランに導かれるまま白い石造りの門を入っていた。観劇と言っていたが、入っていく場所は富裕層の屋敷のように見える。しかし、この時のノラにはそれを判断する思考力は残されていなかった。 「ほら。劇場に着きましたよ、お嬢さま」  開かれた扉の先には、闇があった。小さな燭台が新月の夜の星のように点在し、何か蠢く影をいくつも映し出している。屋敷の中は甘ったるい匂いのする煙がふよふよと漂って、何か異様な空気だ。  荒い息遣いと喘ぎ声がそこら中から聞こえ、ノラは足を止めた。 「観劇じゃない」  目が慣れてきた。蠢く影は人間だ。何人もの男女が裸で、床の上や椅子の上、或いは立ったまま粘膜がぶつかり混ざる音を響かせながら、交合している。 「まあ、そうですね。観るのではなく、僕たちが演じるんです。太陽の光の届かない場所で、夜を彷徨う獣になりきるのも楽しいですよ。ほら、あなたも服を脱いで」  フロランは躊躇なくバサバサと服を脱ぎ、ノラのドレスに手を伸ばした。 「なんのために?」 「この世の楽しみ方を一つ増やすため」 「誰かも分からない人たちと愛を交わすのが楽しいのか?」  フロランが笑い出した。 「あなたは見かけより随分と初心だな。ますます気に入った」 「やめてくれ」  ノラはフロランの手を払いのけようとしたが、腕が重くて上がらなかった。別の腕が何本も暗闇から伸びてきて、ノラのドレスを剥ぎ取ろうとしてくる。ノラは足が竦んだ。周りにいる人間が男か女かも分からない。  心臓が恐怖で震え、靄がかかった頭の中に警鐘を鳴らした。 「愛なんて交わさない。交わすのは快楽だけだ。そのあとはわたしがあなたを妻にしてあげるから、心配しなくていい。田舎の家族ごと面倒見るよ。親父への訴えを取り下げれば。いい条件でしょ?」 「や、やめて…」  足から力が抜け、ノラの身体は簡単に床に倒された。布が肌から剥がされていく音と、暴かれた肌に触れる誰のものか分からない手の感触が、酷く不快だった。 「やめろったら!」  ノラが叫んだとき、腕を強く引かれて身体が宙に浮いた。暗闇で自分を担ぎ上げた人物の顔は分からない。が、その匂いが、触れた肌の温度が、その男をセルジュ・アベルだと示している。 「あ、アベル卿…?今度こそ本物?」 「よく分からないけど本物です。帰りましょう、ノラ嬢」  ノラに群がっていた男女はセルジュの腰の剣を見た瞬間に小さな悲鳴を上げて蜘蛛の子を散らしたようにその場から逃げ、フロランは裸のまま床に座ってつまらなそうに溜め息をついた。 「あーあ。なんだよなぁ、しらけたぜ」 「お前――フロラン・モリアック」  ノラは今まで聞いたことのないセルジュの声を聞いた。身体の芯がぶるりと冷えるような恐ろしい声だ。 「絶対に潰してやる。覚悟しておけよ」  激怒している。ノラはセルジュの肩をそっと握って落ち着かせようとした。 「わ、わたしがよく分からずについてきてしまったんだ」 「あなたは黙っててください。あと何か盛られてますよ。瞳孔が収縮してます」 「えっ」 (こんなに暗いのによく見えるな)  道理で頭がぼやぼやするはずだ。身体の異常を自覚した瞬間、グラリと頭が揺れてセルジュの胸に寄りかかってしまった。 (安心する…)  ノラはまぶたを閉じて、そのままセルジュに身を預けた。
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