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「大丈夫。そこまで気にしてないから」
「”そこまで”と言うことは、ちょっとは気にしているということです、やよ」
「あー……いや違うよ」
面倒くさい。あー言えば、こう言う。
いい子には違いないが、こうも言葉による揚げ足を取られているとなると、まるで会話が成立しない。
いや、成立どうこうではなくて。会話が宙ぶらりんになるというか、なんとも言えないこそばゆさを感じている。
「だから大丈夫だって。全然気にしてなんかない。
……そんなことよりさ、こうしてお隣同士出会ったことだし、もっとあなたのこと知りたいなーなんて?」
「よよ? わ、私の名前ですか? そんな個人情報を聞き出して、何をする気です、やよ!」
「えっ。いやいや、ちょっとした交友を深めるための情報交換だよ」
「じゃ、君から名乗ってよ。それが筋ってもんでしょ」
「わ、分かったよ。えー。僕の名前は、埜銀 八代。見ての通り、純粋な人間種……です」
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