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意識しちゃう
「……眠い」
昨夜はほぼほぼ眠れなくて、朝方にようやく寝落ちしたものの二時間くらいで目覚めてしまった。
「酷い顔。先に顔洗ってくれば?」
「うん、そうする」
鳴海の方はぐっすり眠れたのか、スッキリした顔をしているので、何だかちょっとムカついた。
(あの状況で寝れるとか、何なの? 私の事は女として見てない? ……だから、色々協力してくれるんだよね、きっと)
眠い目を擦りながら洗面所までやって来た私は顔を洗って着替えるとメイクとヘアスタイルを整えた。
「なあ真柴」
「何?」
「お前今日予定あんの?」
「別に、何も無いけど?」
「それじゃ買い物付き合ってくれる?」
「買い物? 別にいいけど」
「サンキュー。それじゃ、俺も準備するわ」
洗面所から戻って来た私に今日の予定を聞いてきた鳴海が買い物に付き合って欲しいと言うので二つ返事で頷くと、私と入れ違う形で洗面所へ向かって行った。
お互い準備を済ませてホテルを出る。
いざ外へ出てホテルを見ると、何もしなかったもののラブホテルに鳴海と入ったという事実が何だかちょっと気恥ずかしい。
(ホテルから出るのって、こんな気持ちになるのかな? 入る時は勢いだったから何も考え無かったけど、やっぱり恥ずかしいや……)
チラリと鳴海に視線を向けてみるも、何も感じていないのか全くもっていつも通りでやっぱりちょっとムカついた。
(うう、何だか私ばっかりが意識してるみたいで悔しい……)
とはいえ、私の馬鹿な思いつきに協力してくれる訳で、何だかんだで鳴海には助けてもらっている。
(ってか、鳴海って本当、色々な事知ってるよね。ラブホだって初めて入った筈なのに詳しかったし……)
よくよく考えてみると、鳴海は良い男なのでは? なんて思ってみたり。
今まで考えた事もなかったけれど、もし万が一私と鳴海が付き合ったりしたら、どうなのだろう?
色々知っているから楽な気はするけど、それでは結局友達と変わらない。
「おい、ボーッとしてるなよ。前見て歩かねーとぶつかるぞ?」
「あ、うん、そうだね」
「つーか腹減ったからまずはどっかで飯食おうぜ」
「うん、いいよ」
私と鳴海が付き合うなんて有る訳が無い。くだらない事を考えるのを止めた私は朝食に何を食べようか、鳴海と交互に候補を挙げていった。
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