白の孤独

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 やがて時が過ぎ、桂城の大きな手が篠宮の額に張りついた前髪をゆっくりと掻き上げた。篠宮は静かに息をついた。  だるい目を開けると部屋の中がほんのりと明るい。カーテンの隙間から覗いている雪明かりのせいだと、ぼんやりとした頭で思う。  桂城はベッドの縁に腰を降ろして近くのナイトテーブルからグラスを取って問う。 「飲むか」  篠宮は答えなかった。喉は乾いていたが身体の熱は落ちついていた。  立ち上がった桂城が窓に向かう。大きな出窓を力任せに押し開けたのは風に負けまいとしたからだ。  風が部屋の中に強く吹き込んだ。重いビロードのカーテンがバサリと大きな音を立てた。雪を含んだ冷たい空気が一気に篠宮の回りで渦を巻く。  冷たい小さな固まりが無数に裸の肌に突き刺さった。  一瞬の冷感。それが今は快かった。意外なほど。
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