白の孤独

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 口で咥えて封筒の中身を取り出していた桂城がジロッと篠宮を睨んだ。 「それで、お前は休むのか」 「従業員には交代で休ませます。問題はないかと…」  桂城は右手を振った。篠宮は休む気がないといっているようなものだ。 「大ありだ。それを口実に逃げられるってことがな」  却下、というように桂城は拳から出した親指を下にして見せた。 「……」  決定権はあくまで桂城にある。篠宮は仕方なく口を噤んだ。そして、しばらくの沈黙の後、彼は静かに桂城を呼んだ。 「社長」 「なんだ」 「…コートを返していただけませんか」  桂城は椅子に背を深く預けて唇を引き上げた。  浴室に置いてあった篠宮のコートをクリーニングに出してやると言ったのは桂城だ。もう一週間になるのに彼の手に戻ってこない。 「取りに来い」  篠宮はかすかに眉を寄せて沈黙してしまった。
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