白の孤独

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 そう言われてついて行ったのは三日前の夜だ。レコードは渡されたがコートは見当たらなかった。  あれから天気は良かったが桂城の屋敷の北庭にはまだ雪が残っていた。雪が積もっているだろう。そう窓から指を指されて頷いたのがまずかった。  じゃ、まだ雪の夜だ、とか何とか口走った桂城にベッドの中に引きずり込まれて、夜が明けてくるころにはコートのことなど口にする気力すら無くなっていた。 「…わかりました」 「来るか」  篠宮はため息をついて首を振った。 「…今度、雪が降ったら、取りに参ります」  今度は桂城が面白く無さそうに沈黙する。  雪の夜の孤独が薄れていく。冷たさは決して消えない。だが、熱い記憶が共に蘇るだろう。  積み重ねられる、想いの記憶。  桂城が携帯電話を取り出した。その指が天気予報のアプリを押すのを横目で見ながら、篠宮はゆっくりと扉を閉めた。                  番外編2 白の孤独  END    
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