キシ 一歩目「街角パン屋ふんわり色堂」

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古都はとりあえず一通りのパンを見てみることにした。 香り高いブール、粒こし両あんぱん、耳の大きいメロンパン、きつね色のクリームパン、見た目からサクサクなクロワッサン、各種入ったジャムパン、ドライフルーツ入りのコーンブレッド、おやつによさそうなマフィン、秋と言えばのマロンパン、揚げたてじゅんわりカレーパン、ボリューミーなポテトサラダパン、子供に人気がありそうなミニドッグパン、これまたいい匂い焼き立てのピザパン、分厚いコロッケパン、トロっとチーズのベーコンポテトフランス、紅茶の香りのシフォンケーキ、よりどりみどりのドーナツ系、やっぱこれだよチョココロネ。などなどなど・・・。 商品紹介は手書きで、シンプルなデザインだがかわいらしくて購買意欲がそそられる。中には入り口の札のようにウサギがあしらわれていた。 どれにしようか。これは全員が優柔不断にならざるを得ない。 もうお昼のピークは過ぎていそうでところどころパンがなかったりもする。 一か所目を引いたのは、「ヒメちゃん練習中お菓子‼」という札が出ているもの。なんだかこの一言に地域の温もりが感じ取れる。パンが置かれていたであろうトレーにはもう何も残っていないが、「ウィークエンドシトロン」というものが乗っていたらしい。 ヒメちゃんというのは先ほどいらっしゃいませと言ってくれた方だろうか、きっとあの人は美味しいお菓子を作る。そう確信させていただけに、売り切れているのことを残念に思った。 そんなことを思いながらパンを選んでいると、レジの奥、おそらく調理場があるであろうところから若い女性がトレーに乗ったたくさんのパンを持って出てきた。
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