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「あ、ヒメさん!さっきのお菓子美味しかった!」
と勉強をしている高校生の一人が彼女に話しかけた。どうやらヒメちゃんとはこの若い女性らしい。
その後もヒメさんは店内にいるお客さんに次々と声をかけられつつ、パンを補充していき、古都の目の前のトレーにもパンを補充した。その時、
「あ、初めましてですかね?カレーパン、おすすめですよ」
とヒメさんは声をかけてきた。
「ありがとうございます。どうして初めてだと・・・?」純粋に疑問だ。
「あ、この店、ここら辺の人しか来ないんで、みんな顔なじみなんですよ、」
確かに駅からもそこそこ離れている住宅街の中だし納得だ。
「そうなんですね、とても良い雰囲気のお店で立ち寄っちゃいました。他に
おすすめはありますか?」
「そうですね、今あるのだとお母さんが作ったシフォンケーキも美味しいですし、もう少し待っててくだされば出来立てのウィークエンドシトロンを召し上がれますよ!お父さんのコーヒーと最高に合います!」
この家族はかなり仲が良いらしい。
「じゃあ、先にこれ買って、あそこで頂いていてもいいですかね?」
「もちろんです!」
古都は提案に乗らせてもうことにし、母親のいるレジにカレーパン、シフォンケーキ、コロッケパンを持っていく。一つだいたい百円ちょっと。超安い。
「ここで食べていきます?」
「はい、利用させていただきます。あ、店内でパンの写真って撮っても大丈夫ですか?」
「もちろん大丈夫ですよ、」
「ありがとうございます。」
「ごゆっくりしていってくださいね、」
母親の笑顔を受け、古都はイートインスペースに向かう。
窓際の木製丸テーブル3つ、高校生たちがいる隣の机に古都は座る。
そして一度立ち上がり、父親のいるカウンターへ。
「すみません」
「はい、いらっしゃい」
「紅茶を一杯いただけますか?」
「紅茶ね、百五十円になります。」
これまたリーズナブル。
「あ、席に持っていきますのであちらでお待ちください。」
「ありがとうございます。」
古都は百五十円を渡して席に戻る。カウンター上のボードにはメニューが書いてあり、ホットコーヒー、カフェオレ、アイスコーヒーが百五十円、紅茶、ミルクティー、その他ジュース類が一杯百円で飲めるようだ。
少し待つと父親がティーカップに入った紅茶を持ってきてくれた。
「ありがとうございます」
「ごゆっくり。」
かっこいい。
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