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さて、物は揃ったので早速食べ始める、と思いきや、せっかくなので綺麗に写真に収めたくなった。
この店は購入時に持っていたトレーをそのまま使える形を取っており、古都はそこに購入したパンを、隣に紅茶を並べて、写真を撮り始める。
良い感じに柔らかな光が差し込む窓際、カメラ越しにパンが生きているように見える。早く食べたいが、今は冷静に。渾身の一枚を作る。
満足な一枚が撮れたので、食べ始める。どれから食べよう・・・。
そうだな、まずはヒメさんがおすすめしていたカレーパンから食べてみよう。
ざじゅわっ。
揚げたてのような衣生地とすぐ下のじゅわっとした層を一噛みで貫く。すると少しの空洞の後、温かなカレーに到達する。
カレーは無難な言い方だが様々なスパイスが効いている。強いてい挙げるならなにやら辛みと甘みが同居している独特な味わいだ。隠し味だろうか?ともかく旨い。感想を言葉にしているよりも脳で味わいたい。
そして、分厚くジャガイモがごろっとしたコロッケパンも食べ、いい香りのシフォンケーキと紅茶も楽しんだ。
食事を終えるころには店内も落ち着いていた。
そんなタイミングでふと隣の席にいる高校生たちの会話が耳に入って来る。
「おい、三浦、そうえいばいい加減告白しちまえよ!」
小声でそんなことを話しているのが。
「え、いやだって俺今年受験だぜ?」
「だからだろうがっ」
見えてはないが三浦と言うやつが小突かれた姿が目に浮かぶ。
その後もなんだかそれ系統の話でわちゃわちゃしていた。これはなんだか物語を感じるなあ。
「お待たせしましたー!」
そんなやり取りをさらに向こう、ヒメさんが風のように現れた。
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