キシ 一歩目「街角パン屋ふんわり色堂」

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なんと、ヒオウは友人には言わずに一回、約二年前ヒメさんに告白していたらしい。 予想外すぎるヒメさんの反応に友人たちから轟轟と言葉が出て来て発覚した。 ヒメさんは古都にお菓子を持ってきてくれる途中だったこととがっつり古都も驚きの表情をしてしまったことで、その話には古都も巻き込まれた。 「あ、ごめんなさい、これ、ウィークエンドシトロンっていうお菓子です。みんなで食べよう!お兄さんも一緒にどうぞ!」 そして古都が高校生たちの席に合流し、ヒメさんがお菓子をみんなの前に置いた。 さらに、気を利かせた父親がみんなにコーヒーも淹れてくれた。 古都が財布に手を伸ばすと「お代は結構ですよ」と言ってくれた。 ヒメさんこと追川陽芽菜(おいかわひめな)さんとヒオウこと三浦燈桜(みうらひおう)は幼馴染、とは言わないまでも古くからの付き合いだったようで、燈桜は2つ年上の陽芽菜さんにずっと恋していたらしい。そして陽芽菜さんと同じ高校に入り、陽芽菜さんが卒業するタイミングで一度告白。しかしその時は陽芽菜さんには彼氏がいたため断られる…。陽芽菜さんは高校卒業と同時に本格的に家のパン屋、この店を手伝い始め、燈桜はその後も告白せずにこの店に通い続けて今に至るらしい。 といった感じらしく、古都はこの街で出会えた物語に感動した。 「で、結局答えは・・・?」友人の一人が言う。 その言葉に陽芽菜さんは顔を少し赤らめ、 「受験が終わったらこたえるから・・・。まずはちゃんと勉強してほしいかな、」と答えた。 「俺、超がんばります!」 「うん、待ってるよ」 ここにも一つ、新しい物語の始まりが生まれた。 「あ、そうだ。よかったらお写真撮らせてください。」    古都は二人、みんな、ご家族も、様々な角度で、色んな表情でそれらをカメラに収めた。  柔らかい光が差し込む土曜の午後、この街は焼き立てのように温かい。  やわらか色堂のドアを開けて外に出る。  心地よい、温かな、良い匂いの風が古都の横を吹き抜ける。    家に帰り、データ化した写真を陽芽菜さんと燈桜に送る。  それぞれからそれぞれのお礼が来る。二人とも考えていることは同じようだ。
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