伸び伸びとした学園

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だが、良い事ばかりじゃなかった。 昼休み。 教室で鈴木と飯を食っていると、「保ー…、鈴木くん…」と、廊下から山村の涙声が聞こえた。 見ると山村が、どういう訳か泣きながらドアの所にいる。 「どうしました?!山村先輩!」 鈴木が箸を置いて駆け寄った。 俺も何事かと鈴木に続いて廊下に出た。 「伊藤先生が…っ、伊藤先生が…っ!」 泣きじゃくる山村の言葉に俺は嫌な予感がした。 「山村先輩。落ち着いて下さい。伊藤先生が、どうかされましたか…?」 そう言う鈴木の声も緊張からか固くなっていた。 「引き継ぎして、今月いっぱいで辞めちゃうんだって…っ!」 「そんな…」 鈴木も呆然としている。 「何でだよ?!伊藤先生は何も悪かねーじゃねーか!」 「わかんないけど、イッシンジョーの都合だって…っ」 「それじゃあ、わかんねーよ!!」 俺は理由を訊こうと廊下を歩き出した。 と、鈴木が前に立ち塞がる。 「どこへ行くんですか?!」 「職員室。伊藤先生に退職の理由を訊いて来る!」 「行ってもプライバシーの問題で応えてくれませんよ!」 「もしかしたら昨日の俺のせいかもしれねーじゃねーか!」 「だとしても、他の理由でも、今の僕達に出来る事は無いです!」 「他の理由ったって…!」
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