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「何やってんだ?アイツ。小便でもするところだったのか?」
「いえ、あの子は僕が作ったトイレでしか用は足しません。何か…」
鈴木と2人、犬を驚かせねー様に近づいて行くと何やら小さな箱の様なモンが見えてきた。
犬は俺達に気付くと、鈴木に向かって尻尾を振る。
「…何でしょう?この箱…」
鈴木がカバンを地面に置いて両手で箱を持ち上げる。
犬は吠える事も無く、鈴木を見上げている。
「誰かのイタズラか?」
「今のこの学園で、そんな事をしようとする心の余裕がある生徒さんは居ませんよ…」
どこか悲しげに鈴木はそう言うと、箱を俺に手渡し、自分はドッグフードの袋を開ける。
この箱、どうすっかな…。
俺は片手で箱をあちこちから見てみたが、別段、何の変哲もねー箱に見える。
が、何故か捨てる気になれなかった俺は箱とカバンを足元に置くと、煙草とライターを取り出した。
夕方。
「そろそろか?」
「そろそろですね」
俺と鈴木が示し合わせた様にそう言う声と共に、遠くからバタバタと足音が聞こえてくる。
そして、姿を見せたのは、案の定、山村だった。
「お待たせー!部活、終わったよう!帰ろー!」
そう言いながら俺に抱きつこうとした山村は、箱につまづき、派手に転んだ。
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