笑顔の種

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「大丈夫ですか?!山村先輩!」 鈴木は山村を心配して駆け寄るが、山村がつまづいた拍子に箱のフタも開いた。 俺は、山村よりその箱の中に釘付けになる。 箱の中にはデケー種みてーなモンと、メモ紙が入っていた。 そのメモ紙には…。 『笑顔の種。 この種を育てる事で、特別な力が宿る。』 …と書かれている。 笑顔の種? 特別な力? 意味が解らず、しばし思案に耽っていると。 「えへへー。大丈夫だよう!ちょっとつまづいただけだから!」 そう言いながら膝を払って山村が立ち上がった。 「なら、良いのですが…。…千夜くん!!」 「な、何だよ?」 「千夜くんも山村先輩に何か言ってあげて下さい!」 「はあ?何で俺まで…」 山村の保護者は鈴木1人で充分だ。 その余りの剣幕に、俺は鈴木も春日部相手にそう言ってやりゃー良いのによと思った。 と、そんな俺等のやり取りを遮る様に山村が声を上げる。 「あれー?!この箱、不思議な種が入ってる!『笑顔の種』だってー!」 どうやら、山村も箱の中を見た様だ。 種とメモを箱ごと持ち上げ、未だに不機嫌そうな鈴木にも見せる。 「えっ?!『笑顔の種』ですか?………」 先程の俺みてーに思案にふける鈴木。 頭の良い鈴木なら、このメモに書かれている意味が解るだろうか?
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