笑顔の種

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俺はふとそう思った。 「にわかには信じられませんが、特別な力というのは、笑顔の力みたいなものでしょうか…。断言は出来ませんが…」 鈴木の憶測に山村がパッと顔を輝かせる。 「じゃあさ!3人でこの種を育てようよー!この学校、皆、笑顔が無いんだもん!」 笑顔がねーのは、春日部達教師の牛耳りがヒデーからだ。 どいつもこいつも暗〜くギスギスとした雰囲気に呑まれている。 だが、種がいつ発芽して成長し、花が咲くのかはわっかんねーが、1日や2日じゃ幾ら何でも無理だろう。 「…何か面倒くせーな」 「でも保ー、この種から綺麗な花が咲いて、皆が笑顔になれたら素敵だと思わない?!」 「僕も山村先輩に賛成です。花を愛でることで生徒さん達だけでなく、先生たちも心が豊かになるかもしれません」 鈴木も乗り気だ。 確かに春日部達も良い大人だが、情緒が安定するかもしれねー。 今まで春日部達教師に、いつか、ひと泡吹かせてやると思っていたが、鈴木や山村の言う別視点のアプローチがあってもおもしれー。 「…わーったよ。だが、どこに植える?」 先ずは、そこだ。 「皆が見れる場所が良いよう!」 「だとしたら、校庭の脇にある花壇ですね。帰り掛けに寄ってみましょう」 俺達は購買部でペットボトルの水を買うと、花壇に向かった。
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