花を育てよう!

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花を育てよう!

花壇は乾いた土が敷き詰められてるだけだった。 「今度、園芸部からジョウロを借りて来ます。そうすれば校庭の隅の蛇口から水が汲めます」 「そうすりゃ水代も浮くな」 いちいち買ってたら、チリも積もれば何とやらだ。 「じゃあ、早速、植えよう!」 山村は、土に人差し指を突っ込むが、サラサラした土が種の為に空けた穴を直ぐに塞いじまう。 「あれー?!種が植えられないよう!」 何度やっても結果は同じなので、山村が困った様に声を上げた。 その時、スマホを何やらいじっていた鈴木がアドバイスする。 「植物などの種を撒く時は、土全体を濡らしていると植えやすくなるそうです。千夜くん、そのペットボトルの水を蒔き切って下さい」 「それは良いけどよ、種を植えた後の水やりは、どーすんだ?」 「種撒きの時点で水を与え過ぎると種腐れの原因になるので、むしろ追加の水やりはしない方が良いそうです」 「鈴木くん、物知りー!」 山村が感心した様な声を出した。 物知りなのはスマホで検索したからだと思うが。 俺も初めて知った。 花なんざ今まで育てた事ねーから、当たり前だが鈴木の説明は下手な教師より解り易く、なるほどそういうモンなのか、と思った。 「わーった。山村、ちと退いてろ」 俺は花壇の前に陣取っていた山村をそう言って退かすと、鈴木に言われた通り、ペットボトルの水を全部蒔いた。
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