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「山村。先に食ってなかったのか」
…何だか意外だ。
「僕、そんな事しないよう」
「そうです!山村先輩を食欲の塊の様に言うのはやめてください!」
鈴木も山村のことになると感情的になるな。
山村も俺じゃなくて鈴木にしとけば大切にされそうな気がするが、世の中、上手くはいかねーモンだな。
「へいへい、わーったよ。じゃあ、先ずは飯を食うか?」
「僕、先にお水あげたい!」
「じゃあ、今朝、渡辺くんから教わった場所からジョウロを拝借してきましょう」
山村だけでなく、鈴木までハウスの方へ行っちまったので、俺もしょうがねーから、ついて行った。
「うわー!ハウスの中、暑ーい!」
ハウスの中に入った途端に山村が悲鳴を上げる。
確かに、もうとっくに夏は終わったが、ハウスの中は朝より暑かった。
「換気もされているみたいですが、今日は風がないから日差しばかり浴びて気温が上がっているのでしょうね」
「つー事は、風が吹くと、まだ違う訳か?」
「はい、おそらくですが…」
そうこう鈴木と話していると、ジョウロを手にした山村がとっととハウスの出入り口に向かう。
「早く、お水汲んでこよー?」
「待て!山村」
俺と鈴木も、こりゃ敵わんと山村の後に続く。
ハウスから出ると、外が如何に過ごし易い気候かよくわかる。
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