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俺達は校庭の隅に設置されている蛇口の所まで来た。
ジョウロを持っていた山村が中に水を入れる。
そして、いざ花壇まで持って行こうとした時。
「お、重くて持ち上がらないよう!」
…山村、水を汲んだジョウロを持ち運べねー。
見兼ねた鈴木が代わりに持ってやろうとするが。
「山村先輩…っ!水、入れ過ぎじゃありませんか…っ?!」
鈴木は水を減らそうとするが、山村が慌てた様に止める。
「花壇全部を濡らすのに、これぐらい入れなきゃ!お水を減らして、いちいち往復するの面倒だよう!」
山村、育てる気マンマンな割には横着だな。
ったく!
しょうがねーな。
俺は鈴木の手からジョウロを取ると片手で持ち上げた。
大して重くねーじゃねーか。
「千夜くん?」
「俺が運んで水を撒く。鈴木と山村は、先に飯を食ってろ」
「ありがとうございます、千夜くん」
「保、凄〜い!」
感嘆な声を上げる山村に礼を言う鈴木。
俺は花壇に向かいながら、そんな2人に言った。
「鈴木も山村も、これぐらい持ち運べる様になれ。今日は俺が水をやるけどよ」
「はあーい!」「済みませんが、お願いします」
山村と鈴木の声を背に、花壇まで来た俺はシャーとジョウロから満遍なく水を蒔いた。
昨日のペットボトルの水と違い、花壇全体の土に水が行き渡る。
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