11人が本棚に入れています
本棚に追加
/43ページ
そう言うと伊藤先生は、スプレーを俺達の方に差し出した。
「花には当然、無害だよ。早速、掛けてみるかい?」
「良いんですか?」
「他の先生たちには秘密にしてくれればね」
苦笑気味の伊藤先生からスプレーを受け取る鈴木。
「ありがとうございます」
「又、何か困ったことがあったら、出来る限り力を貸すよ」
伊藤先生は目尻を下げて笑った。
花壇まで着いたところで山村が鈴木に声を掛ける。
「鈴木くん!僕が掛けたい!」
「良いですよ。こうして20センチ以上、芽から離したところから…」
鈴木が手取り足取り山村に教えてやったからか、山村は上手い具合に芽にスプレーを掛けた。
「面白いねー、保ー」
俺はスプレーは掛けちゃいねーが、山村と鈴木の活き活きした様子に悪い気はしなかった。
「スプレーは最低でも一週間は間を開けた方が良いと裏の注意書きに書かれていますね」
「えー?!毎日、掛けた方が害虫や病気にやられないんじゃないのー?」
「何事も程々が良いって事です」
そう言って鈴木は山村からスプレーを返してもらった。
それから昼休みの水やりは主に鈴木が。
放課後は鈴木が犬に餌をやるから、俺が液肥を作って、山村が撒く…という様に、二手に別れて作業していた。
最初のコメントを投稿しよう!