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山村が俺達の元に着いたところで鈴木が、やんわりと言う。
「千夜くん。僕も上級生の授業は、まだ解りませんよ?」
…そうだった。
山村が俺達より先輩だって、つい忘れちまってたぜ。
最も、そんな事を口にウッカリ出すと山村が五月蝿そうなので黙っておく。
「じゃあ、鈴木くんが水やりしたら、3人でお弁当を食べよう!」
片腕を挙げて先頭を切って自分のクラスの下駄箱に向かった山村に俺と鈴木も続いた。
そして校庭に出ると。
「あれっ?!」
先に出ていた山村が驚いた様な声を上げる。
そのまま花壇に向かって駆けて行く山村。
その只ならぬ様子に俺と鈴木も顔を見合わせ、直ぐに後を追った。
「笑顔の花が無い!!」
山村の言葉通り笑顔の花が咲いていた箇所は根っこごと何者かによって大きく繰り抜かれていた。
「どこにいってしまったのでしょう…」
鈴木も愕然とした様子で呆然と笑顔の花が咲いていた箇所を見詰めている。
「探すぞ」
俺は短くそう言うと付近を見まわってみた。
鈴木と山村と手分けして探すが見つからねー。
「どこにも無いよう…」
今にも泣きそうな面して山村が呟く。
「これだけ探しても見つからないとなると、信じたく有りませんが、誰かが持って行ったとしか…」
鈴木も悲しそうな表情で暗い声を出した。
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