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俺の脳裏に、楽しそうに水や液肥をやる鈴木と山村の姿が蘇った。
と、同時に花を持って行った犯人に対して怒りが込み上げる。
「…こんな事をする奴、あいつしか居ねー…」
俺は校舎内に向かって駆け出した。
「千夜くん?!」「待ってよう!保ー!」
2人の叫び声も耳に入らず、俺は職員室に向かって廊下を走る。
犯人は春日部だ!
あの野郎は、校長が復帰してから教室で昼飯を食うのをやめたと渡辺から聞いていた。
居るとしたら職員室しかねー。
「千夜!廊下は走らない!」
「うるせー!」
俺は注意してきた教師に暴言を返すと、構わず職員室のドアをノックもしねーで勢いよく開けた。
一瞬、シーンと静まり返った職員室の中。
その中に春日部の姿も在る。
教師達の大半はドアを開けたのが俺だと解ると、ニヤニヤとねちっこい笑みを浮かべた。
春日部も例外じゃねー。
だが、構うものか。
鈴木と山村を傷付けやがって。
俺はズカズカと大股で春日部の席まで歩くと奴の胸ぐらを掴み上げた。
春日部達の顔から笑みが消える。
だが、それは睨みに変わっただけだった。
「花を盗んだのは、あんただな…?」
「花あ?花なんか、あちこちに在るから何の花だか解らんなあ!」
ニタァと俺の神経を逆撫でする様な笑みを春日部は再び浮かべる。
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