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放課後というと鈴木は丁度、体育館裏で犬にエサをやっていた時だ。
春日部に校舎内から見られていたとは、俺も山村も気付いてはいなかった。
「その時、もう1人、先生が来て…目障りだからあの花を踏み付けてしまおうって春日部先生は言っていた…」
その辺りのことは、春日部が言っていたことと一致する。
「私は悲しかった…。教師として、以前に人として、あるまじき行為だと思ったんだ…。そして春日部先生達が職員室に一旦、戻った隙に…」
「花を隠してくれたのか…?」
俺の声は騒ぎ過ぎて掠れていた。
「正確に言うと少し違う。花を植木鉢に移し替えて私の家に持って帰ったんだ。その時には、キミ達は、もう帰った後だった…」
てえことは花は無事だ。
俺は心底、安心した。
「だが、こんな騒ぎになる前にキミ達には、ひと言、言っておくべきだったよ…。後悔している。済まなかった…」
伊藤先生は、そう言うと俺達に向かって頭を下げた。
「今回の件は、校長先生の耳にも入ることだろう。キミ達…特に千夜。キミのことは私が守る。私は如何なる罰も受けるつもりだ…」
伊藤先生は頭を下げたままだ。
俺は掠れた声のまま言った。
「先生。今、言ったこと、校長…先生にも話してくれ。あの校長先生ならわかってくれる筈だ。それに、そもそもの原因は春日部…先生だ」
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