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鈴木の言葉に山村にも礼を言おうと向き直ると。
3人共『ぐうううううううううううううう!!』
「や、山村。腹鳴らしてんじゃねー!」
「鳴らしたのは保もじゃないかあー!」
「流石にお腹が空きましたね…」
俺達の様子を見て伊藤先生は、しばらく考えていた様だったが、やがて言った。
「山村。事情はわかったから、ここでお弁当を食べてから授業に出なさい。千夜と鈴木の担任の先生は…」
「春日部先生です…」
鈴木が言いにくそうに応えると、伊藤先生は尚も思案にふけった。
「そうだったな…。私の方から上手く言っておく。ここで山村とお弁当を食べていきなさい」
生徒指導室で昼飯を食うなんざ、俺は勿論、鈴木と山村も初めてだった。
「3人共、この事は特別だよ。他の生徒たちに示しがつかないから、自分達の胸に秘めておきなさい」
伊藤先生は、そう言って部屋を出て行った。
「理解ある先生ですね」
「だが、それに甘んじて、チンタラ食ってられねーぞ。早く食っちまおうぜ」
「…ちょっぴり残念」
「…」「…」
山村の小声で言った言葉を、俺も鈴木も聞かなかったことにした。
帰りのHRの時間が過ぎても珍しく春日部がやって来ねー。
まさか昼休みの事が関係してるのか?
事情を知らねー渡辺達クラスメートは皆、どこか安心した様な顔をしてる。
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