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山村は不安なのか、さっきから伊藤先生に質問攻めだ。
「大丈夫だよ」
伊藤先生は心なしか口数が少ねー。
職員会議で何があったかは知らねーが、山村みてーに訊くのは憚られた。
伊藤先生の家に着いた時には辺りは薄暗くなり始めてた。
「今、植木鉢と受け皿を持って来る。ちょっとだけ待っていてくれ」
伊藤先生は、そう言って車を一旦、出ると、明かりの点いてねー一戸建ての家の中に入って行く。伊藤先生、独身かバツイチなのか?
てっきり奥さんと子供が居るモンだと思っていた俺は意外だった。
「山村先輩。不安なのは解りますが、余り伊藤先生に色々と訊かない方が良いですよ?」
鈴木が最もなことを言うが。
「どうしてー…?2人は不安じゃないのー?」
山村には疑問で返された。
「伊藤先生は悪かねーからな」
「僕も千夜くんと同じ意見です。理不尽な裁量は校長先生が認めないでしょう」
その時、家の中から伊藤先生が袋を手に出て来たのが見えて、話は途切れた。
「お待たせ。花は誰が持って帰るのかな?」
「僕に持たせてください。考えを明日、実践しますから」
てっきり山村あたりが欲しがるかと思ったが、花を学園に返す場所は鈴木に任せた方が良いだろう。
「じゃあ、鈴木。頼んだよ」
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