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先生は運転席の開いてる窓から腕を伸ばして真後ろの鈴木に袋を手渡す。
鈴木も両腕を伸ばし受け取った。
「じゃあ、帰ろう。皆、親御さんには連絡したのかな?後、生徒手帳を見せてくれ。ナビに最終目的地と経由地を入力するから」
鈴木と山村は親に電話を掛けながら伊藤先生に生徒手帳を一旦渡す。
俺は…今日は親父が留守の日だから良いや。
そう思いながら生徒手帳を差し出すと。
「千夜は親御さんに連絡しなくて大丈夫かい?」
2人の電話の手前、小声で訊かれた。
俺も頷くだけに留める。
電話の間に伊藤先生は俺達3人の生徒手帳の住所を見比べていたが、やがて入力し始めた。
そして2人が遅くなるって連絡を終えると、それぞれの生徒手帳を返してくれる。
「ありがとう。鈴木、山村、千夜の順で送って行くよ」
そう言いながらシートベルトを絞める伊藤先生。
「ありがとうございます」
「先生、ありがとー」
「悪いな、先生」
「いや、こちらこそ。その花を見てると不思議と明るい気分になれたよ」
車はエンジンをかけて、夜の住宅街を走り出した。
もう山村も質問攻めをすること無く、大人しく乗っている。
そして、先ずは鈴木の家の前に着いた。
一見すると極普通の一戸建てって感じだ。
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